特集B

MASSIVE BLEEDING MASSACRE presents

ブラックメタルを聴きやがれ!!

序章 ブラックメタルってなんだ?
第1章 ノルウェーブラックメタルシーンの興亡
第2章 ブラックメタルを哲学しよう
第3章 ブラックメタルと国家社会主義
第4章 お勧めブラックメタル 初級〜上級
第5章 ブラックメタル的サブカルチャー
終章 ブラックメタルとはなんだったか

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序章 ブラックメタルってなんだ?

ブラックメタルってなんだよ。んなの知らね。という方がほとんどではないのか。ねえ!なんなの!?ブラックメタルってなんなの!?と聞いてくる人がいると良くないからカジュアルに説明しよう。

ブラックメタルとは、
この世のありとあらゆるものに反抗する音楽である!!
以上。
本当にこれでいいのか…

まあとりあえずこれでいいと仮定して話を進めよう。

ブラックメタルは上記のように世界一反抗的な音楽である。テクニックの面でブラックメタルを特徴付けるアレコレは確かに存在しているが、
もういいよ、この際。良くねえよ!!という人がいると良くないから、後でウィキペディアでも読んでちょうだい。

ブラックメタルの最大の特徴は、
反商業主義であること。
売れよう、金儲けしよう、ビッグになって有名になろう。

おれちやほやされてえ!!尊敬されたり注目集めたりしたいの〜!
もっとアタイをみてええ!!!
これ↑がこの世に存在するありとあらゆるミュージシャンの本音であろう。

しかしブラックメタルはこれに真っ向から反を唱える。

売れに走るブラックメタラーは
裏切り者とか偽者と呼ばれて軽蔑される。これは業界の一般的な常識である。

つまりメジャーを敵視しアンダーグラウンドやインディーズが好まれる。反商業的姿勢からライブは滅多に行われない。また反メジャーから劣悪なサウンドプロダクションが好まれ、ブラックメタルの先人たちは
ゴミみたいな安物のアンプとかヘッドセットのマイクとかそんなの使ってわざと史上最悪の音質を目指したという。今でも、これは冗談ではなく、劣悪な音質のCDほどマニアには喜ばれる。おれも大好き。いいねえ、とニヤリとしてしまう。音楽的な性質が、劣悪な音質とマッチしているようにすら思える。加えて音質はいい方がいいという常識ともいえる価値観にも中指突き立てる。それがブラックメタルなのだ。すなわち音質が最悪のバンドほど本気度の高い求道者であると判断できるわけである。ブラックメタル界最古のカリスマバンド、ダークスローンの初期音源はほこりかぶったカセットテープのごとき最悪の音質で、感動のあまり涙が出てしまう。

DARKTHRONE

また、他にもブラックメタルはごく平凡なヘヴィメタル勢とは明らかに違う部分がある。それは音楽活動以外のアチチュードである。

彼らブラックメタルバンドの中にはブラックメタル風の表面上のテクニックだけをなぞったイズムも主張もない、純粋な音楽アーティストもいるのだが、彼らの多くは本質的に
リアル悪魔崇拝主義である。

悪魔崇拝というとイロモノな気がするが、純粋に彼らの主張に耳を傾けていると、悪魔崇拝というか、
反キリスト教なのである。全世界に20億人の信者を持つ世界最大にして最強の宗教であり、知らず知らずのうちに世界中の道徳のスタンダードになっている感すらある。

かつてマリリン・マンソンがキリスト教はファシズムだなんて言って物議を醸したが、ブラックメタル界のカリスマ、
BURZUMことヴァーグ・ヴァイカーネス(カウント・グリシュナック)キリスト教は侵略宗教であり、キリスト教以前の文化や歴史や風俗や、多神教などのアミニズム、精霊信仰などを徹底的に暴力で根絶やしにした諸悪の根源であると唱えている。


BURZUM

キリスト教の異端審問に異教の排斥、十字軍の蛮行、権力装置としての支配の道具としてのキリスト教の血生臭さは今更解説する必要はないだろう。魔女狩りとか。誰でも知ってるだろう。

魔女狩り

ノルウェーをはじめとしたスカンジナビアの諸国においても、キリスト教は11世紀に侵入し、現地に存在していた既存の文化や宗教を「邪悪」「悪魔」と排斥してゆく。

しかしスカンジナビアに存在していた
多神教北欧の神々を今更悪魔と排除することは現地民には不可能であった。せいぜいキリスト教の影響を受けて少し本来の形を変える程度のものであり、人々は自然信仰や北欧神話の伝承を捨てることはなかった。

北欧神話

これは共産主義という宗教に侵略を受けた東欧の国々が、弾圧を受けながらも信仰を捨てることがなかったという最近の歴史的事象に酷似している。

このような、キリスト教から異端と排除された多神教信仰を
ペイガニズムと呼び、その信者を単にペイガンと呼ぶこともある。ペイガニズムには差別的響きがあるとされているが、ブラックメタルのアーティストたちは好んでペイガンを自称する傾向にあるようだ。


多神教信仰

このように、もはや当然過ぎて疑問すらわかぬキリスト教文化圏による世界支配に抵抗するという明確なイデオロギーを持っているのが、先に述べたヴァイカーネスである。

正に彼の言葉がそのままブラックメタルの方向性そのままであるかのような、最重要イデオローグなのである。

彼はノルウェーにおいて、音楽活動を行いながらも、数々の歴史に残る教会に
放火している。そしてその後に起こした殺人事件とあわせ、ノルウェーにおける最高刑の懲役21年の判決を受け、刑務所に服役した。

彼が述べる反キリストは、しばしば反アブラハム※にまで拡大解釈され、マクドナルドやディズニーなど企業によるグローバリゼーションにまで拡がっている。キリスト教文化圏に由来するもの全てを攻撃対象と公言している。

※アブラハムの宗教とはイスラム教、ユダヤ教、キリスト教のこと

彼らは地球において、文化や宗教の多様性を重視し、強大な力によって一つの価値観を強制されるようなことがあってはならないと考えている。

上記は
全世界の若者に共通するスピリッツであることは見逃せない。一つの理想的価値観に対する反抗。我々にも覚えがあるはずだ。

ヴァイカーネスの主張自体は目新しいものではないが、彼がカリスマたり得たのは単に彼が引き起こした血みどろの惨劇が原因だった…。

ここではブラックメタルの血塗られた歴史を、主に発信源のノルウェーのブラックメタルシーンを考察しながら紹介したい。


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