赤い天使

本気志向の反戦映画

残虐野戦病院度 90
恋愛度 100
チフス怖い度 100
総合得点 70

1966年日本映画。

赤い天使…白衣の天使ではなく。
中国戦線で野戦病院に配属された看護婦、さくらの視点で日中戦争に従軍した兵士たちの悲しい性事情が描かれている。

さくらは優しく純粋だが
ちょっと頭のアレな綺麗な女という、おたくがヨダレを垂らして喜ぶキャラ造形であり、個人的に感情移入はしづらいものがあったが、兵隊の性をあますところなく描いた映画ということでリアリズムはあると思う。

この
頭のアレなさくらは、赴任してすぐ兵隊にレイプされちゃう。そりゃそうだ。病院とはいえ、そっちの方は健康な男だらけの病院であんなバッチリメイクして仕事してたら狙われるのは当然だ。男に対する警戒心がなさすぎるのかはたまた舐めてるのか知らないが。

兵隊に言い寄られるさくら。いやまあ、美人だもんなあ・・

イヤミはやめましょう。さくらは犯されつつも仕事を続ける。仕事を続けながらも、両手を失いオナニーできなくなった負傷兵のマスカキ手伝うぐらいの外交儀礼は持っていたらしく、そのようにしていた(
なんと手コキ!そりゃそうか)。セックスの世話もする。すると兵隊は意味不明の自殺。さくらは「私が殺したも同じ…」と自己憐憫に浸る…。こういう女大嫌いですボク(笑)。しかし不具になった者が生きられる国ではなかった・・というフレーバーを感じさせたのはグッドだ。オナニーも自分でできなくなるなんて冗談じゃねえよ!(女の人にはわからないだろうが、男ってのは一週間オナニーをしないだけで、ほぼ動物になります。覚えておいてね。)

たまには負傷兵に手コキもしてあげる

さくらは、現場でモルヒネ中毒に苦しみながらバッサバッサと手足を切り取る軍医に惚れている。中国戦線なんて日本は楽勝だったんだぞ〜という
頭のアレな学生が跋扈する現代日本において、これは是非教育を兼ねてみせるべきだ。楽勝だと思ってたのは大本営に騙されてた日本人だけなんだよ!いつまで騙されてる気だこの野郎!中国軍は大戦後半はアメリカやらに豊富に武器援助を受けていて、むしろ日本軍よりよっぽどいい装備で戦っていたそうだし、戦線も一進一退でほぼ互角。あとは人的資源で劣る日本がいつ撤兵するか時間の問題といった有様であった。少なくとも楽勝などではないぞ。それはこの映画を観てもよくわかるだろう。なんと重傷者の多いことか。。「プライベートライアン」でもドクが「モルヒネ、切断、軽傷、He is gone(もう死んでる)」と負傷者を巡回して回るシーンがあった。オマハビーチのところで。この映画でも似たシーンがある。圧倒的多数の負傷者に現場が大混乱し、人手不足から処置が適当になる・・切らずに済んでも切ってしまう、そんな現場の医療班の葛藤がまた暗い気持ちにさせる。医者はストレスで不眠に陥りモルヒネにすがるようになってしまう。

まあ少々地味だし恋愛描写がやけに豊富で鼻につくが、そんなにダメな映画では無い。普通に楽しめる映画である。前線に送られた軍医とさくらは、そこでチフスが蔓延した中隊と遭遇し、彼らの防衛戦を手伝うことに。
チフスは便衣隊の誰かが饅頭にウィルスを注射し、慰安婦に食わせ、それで中隊全体に蔓延したらしいことがわかってくる。ここはすごくスリリングであった。次々嘔吐と脱水に倒れ落伍者が続出する中隊に、近代兵器で武装した中国軍の反抗作戦がいつ始まってもおかしくないという状況…これは恐ろしい…日中戦争の規格外のゲリラ戦術のいったんを味わえる。慰安婦にチフス入り饅頭とは…ルール無用過ぎる…。

白衣に三八・・現代の軍萌えに通ずる構図だがこんなシーンはない・・宣伝用の写真と思われる

戦争において一体不可分な兵隊の性欲事情。これを隠さず描いたことで、今までにない表現を許された変わり種だ。岡本喜八の映画もしょっちゅう慰安婦が出てくるものの、この映画の性描写の露骨さは比較にならない。それはチフス入り饅頭を食った慰安婦という設定からもうかがえるだろう。兵隊には性欲がある。
兵隊は敵を殺すか飯を食うか女を抱くかしかやることがないそうな。その悲しい業を利用して仕掛けた罠なのである。この映画を観て戦争をしたくなるやつはいないと思う。あゝ戦争は罪深い。あゝ恐ろしや恐ろしや…

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