>>戦争映画中央評議会

 

チャイルド44

所詮はハリウッド映画



胡散臭い度

100

アメリカ映画度

100

微妙なサスペンス度

100

総合得点

30


これは中途半端極まる映画で、はじめから全く期待していなかった。トム・ハーディー主演で、ゲイリー・オールドマンが腐敗した警察署長役などキャストだけは豪華だが、偏見払拭には至らず、まんまこんな感じだろうという、悪い意味での期待を裏切らない映画であった。原作は未読。(冒頭のホロドモールの描写だけは少し前に読んだけど)



やっぱこんな重厚な映画で、舞台が全部ウクライナ、ロシアだっつうのに、西側の有名俳優起用して英語で芝居やらせようだなんて無理ありすぎだわ。そんなもんはじめから駄目に決まっとるわ。もう冒頭の30年代のウクライナの飢餓シーンからして激甘納豆でまったく感心できず。こんな甘くねえだろ、、顔色良すぎるし、、700万人も餓死したと推定されるのによお。

だいたい、ここでのソ連政府の極悪な追い込みっぷりが原因で、異常な連続殺人鬼が生まれたと主張するのなら、こんな生ぬるいシーンでは意味もテーマも伝わらないのでは?要するに甘すぎるのである。

次は45年のベルリン攻防戦のシーンが挿まれるが、これも超絶の違和感だ。戦争映画好きの目線で見れば、ここも激甘だと即座に納得して頂けると確信している。ドイツ軍の機関銃陣地にこの時期のソ連軍機械化軍団が手榴弾投げたり短機関銃で突撃したりとか、そんなショボい戦い方してるわけねえだろ? 戦車と榴弾と大口径の迫撃砲で無茶苦茶な無差別砲撃、建物という建物は全部ぶっ飛ばされたと言われるぐらい、史上空前の大火力を行使していたと言われるソビエト赤軍「第一ベロルシア方面軍」の、チート並みの火力が全く再現されておらず、だいたい何のためにこのシーンがあったのって、ラストで戦争の英雄も殺人鬼も、同じホロドモールを経験していて、どっちも人殺しなのに、なんで片っぽは英雄で片っぽは殺人鬼なのよ、という皮肉をきかせたかったから、ってそんなもん知るか!やるならもっときちっとやれよ。政治将校の前であんなふてくされた態度でやる気なさそうに振る舞う兵卒がいるか!アメリカ海兵隊じゃねえんだよ!

、、、と言い出すときりがないほど作りこみが甘い。ロシア人に作らせないからこの辺が甘くなってしまうのだ。やはりアメリカ人にドイツやロシアを描かせるのは無理がある。肌の色は同じでも随分文化も思想も違うからねえ。というわけで冒頭出鼻をくじかれてしまう。

主人公のトム・ハーディーはKGBの前身組織MGB期待の若手ホープという設定だが、「ソ連体制で殺人はない。殺人は資本主義の病だから」と筆ヒゲが言ったから、と、明らかな快楽殺人も事故として見てみぬふり。仕事ぶりに全く共感できない。サディストの部下からガキを二匹助ける以外に目立った活躍ナシ。ショボイ陰謀で田舎に左遷されるが、田舎でも似たような手口の子供の殺害事件を目撃。出世コースから降りた途端、善意が芽生えて(そういう風にしか見えない)犯人を血眼で追い始める。

・・・という話だが、興味があるだろうか?これらの芝居は全部英語。俳優の挙動から何から全部ハリウッドっぽいというか、全然スラブ人に見えないのが難点である。

おれも相当な数、ショボいロシア戦争映画を観てきたからね。でもおれでなくなって、普通の人はこの映画から違和感はしっかり感じ取れるだろう。事件の顛末もご都合主義すぎて、原作もこんな安い物語なの??と逆に読んでみたくなるぐらいお粗末だった。(読まないけど)

まあ、↑のディスは全部感性の話であって、映画のアラとは少し違うのかもしれないが、こういう異国が舞台の時代ドラマというのは、雰囲気作りが何よりも大事だと思うのよ。そういう意味ではこの映画は所詮ハリウッド映画で、語るに足る作品ではない、と思ってしまいました。あとなげえよ。ヒロインも年増すぎてミスキャストだわ。犯人も犯行の様子もショボすぎて中途半端。どうせなら「羊たちの沈黙」とか「セブン」ぽくすりゃ良かったのに。何とも中途半端な映画だ。



 

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