シビルガン 楽園をください

南北戦争映画

虐殺度 90
無法度 100
南部魂度 100
総合得点 80

邦題がアホ過ぎると感じています。楽園をくださいって意味不明です。何考えてたんでしょうね・・?

南北戦争を描いた映画はあまり多くない。奴隷制廃止に反対する南部11州が連邦23州と戦った戦争である。

アメリカの歴史上最大のトラウマであるこのアホな戦争は
主義主張のちょっとした違いで4年ぐらいで80万人ぐらいが死んだ。これはアメリカの歴代の戦争の戦死数を圧倒的に上回っていて、ベトナム戦争ですら比較にならない。加えて、アメリカは国土が戦場になったことがないからうんたらかんたらとどこぞの似非知識人が偉そうにくっちゃべるが、これはどう考えたって国土が戦場になった戦争である。自警団、民兵、ゲリラが跋扈し、正規軍でも抑えのきかないカオスに陥った。当然の帰結として民間人への虐殺、掠奪、拉致、強姦が横行し、武器を持たぬ婦女子もくだらない理由でいっぱい死んだ。

アメリカが歴史の浅いおぼっちゃんで、戦闘慣れしていないなんて大嘘である。彼らはどんな国よりも大規模な内戦をいち早く経験し、民間人が虐殺されるなんて事態も経験している。
野蛮で、粗野で残忍、しかし極めて戦闘意欲が旺盛で勇敢な民族である。日本人はもう少し敵を知るべきであった。

主人公は南部で育った青年たちで、黒人差別主義者。
ナチである。この映画はこの時点で斬新だと感じている。黒人奴隷制を維持し、伝統としきたりと国土を守る・・理由は何であれ南部軍の方が圧倒的に戦争の士気は高かったと言われている。北部の中にも差別主義者はたくさんいて、多数の離反者を招いた。北部は士気があまり高くなかったのである。

この映画は侵略してくる北部軍が悪い敵だという風に描かれているが、主に南部軍の中の人間模様を詳しく描いている。南部の矛盾、極めて保守的で偏狭な価値観の人々が多数登場し、差別用語のオンパレード。黒人がいかに非人間として扱われていたのか、その遠慮なしのパーフェクトな
「モノ扱い」が素晴らしいと感じてしまった。この浮世離れした世界にはもう滅びたロストワールドを旅しているかのような幽玄な空気さえ感じられ、「2001人の狂人」を思い出してしまった。

しかし伝統やしきたりを堅持し、礼儀や女性に対する紳士風の態度を崩さない南部男たちは大変魅力的である。まあ俳優がイケメンばかりというのも大きいだろうが、古きよき騎士道精神みたいなものも残っているのである。彼らはその古い価値観を守るために戦っているのだ。

南部側の登場人物の中に黒人がいるのだが、彼がこの映画で非常に大きな役割を果たしている。行く先々で
ニガーニガーと嫌な顔をされ、時には北部側と勘違いされ殺されそうになったりもする。彼自身も差別されなれちゃって言い返しもしない。かといって卑屈でもなく本当の自由を求めている。だったら北部につけばいいじゃないの、とどんなヒトでも思うだろうが、それも映画を観て行けばわかるようになっている。丁寧なつくりである。

青年たちの友情、愛、成長の物語であり、南部のヒトをヒトとも思わぬ恐ろしい虐殺や戦争犯罪を目の当たりにした彼らは、徐々に間違っているのは南部であり、
我々は負けるだろうと悟るようになっていく。物語としても丁寧な作りである。

作業をしていただけのおじいさんをいきなり射殺します


虐殺された夫の死体に泣きながらしがみつく婦人


古今東西繰り返されてきた光景です・・

まあなんにしろ、19世紀のアメリカ南部の荒野を容赦なく描いた作品はあまり多くなく、どれもこれも非常に容赦ないハードコアな作品ばかりだ。しかしこの映画はその中でもかなり観やすい部類に入り、恋人や家族と観ても大丈夫な爽やかな作りでオススメできます。



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