英雄の証明

シェイクスピアの戯曲を現代風に仕立てた変な映画

風変わり度 100
個性派度 100
アーモン・ゲート度 0
総合得点 40

ネタバレしてます。

すげえ個性なのは認めるがあんまりおもしろくない。シェイクスピアをたしなむような教養は自分にはないので、映画だけを観た感想だが突っ込みどころ満載なんてものではない。

あらすじは、ローマですげえ腕っ節の強い将軍マーシアスがいるんだが、(レイフ・ファインズ)こいつは強いのは強いで間違いないが、
すげえ無愛想なのです。嘘をついたりごまかしたり口先三寸で適当に民衆の機嫌を取るということができない。典型的な豪傑なのだ。いくたびもの戦乱で国を護り民衆に貢献してきた「英雄」だが、愛想が悪いので国民に人気がない。民衆はその不遜な態度に激怒しており、デモ行進を繰り返す始末。ちょろっと民衆に「おれ愛想悪かったかも、ごめんね。テヘッ」と言えば済む話なのに、それが言えないのだ。おれはおれっちの心に嘘つけねえんだ!と。少年ジャンプのような奴である。その結果、国民に追い出された彼はホームレスになって流浪します。流れ着いた先は宿敵オーフィディアスの陣営。何度もローマを攻撃してきた彼を、マーシアスはそのたび袋叩きにしてきた。おめえに頭下げてやるからローマに復讐させろ!とつまるところそういうことを言うマーシアス。あっさり受け入れるオーフィディアス。あっさり陥落するローマ(笑)。そこで母親と妻と子供が「貴方もうやめて」と嘆願に来る。あっさり許すマーシアス・・オーフィディアスは裏切り者呼ばわりして彼を殺す・・終わり。

なんなんだこりは・・。
シェークスピアの悲劇を現代風にしているというのは知っていたが、非常に風変わりな映画だ。なぜそもそも現代風にしたのか?そのせいで圧倒的にドラマのディテールにリアリティが失われている。最序盤、
将軍のくせに最前線の市街戦で自ら特殊部隊みたいな格好で銃を持って戦っているのはどう考えてもおかしい。将軍が伍長みたいなことをしておる。そして敵を追い詰めたら敵の大将のオーフィディアスとナイフ持って一騎打ち(笑)。これには大爆笑。もし負けたらどうすんだ・・。すごく追い詰めているのに正々堂々しすぎている。少年ジャンプじゃんか。

以上の様に、現代風だが
軍事的な描写に関してリアリティは皆無である。こんな突っ込みすら薄ら寒いぐらい。そんなことはどうでもいいことのようです。エイブラムス風の主力戦車はあるのに空軍は見当たらないし。戦車や機関銃があるのになんでナイフで戦うんだ・・?もはや現代風にする意味がわからん。何かメッセージを送りたいのかもしれないが、さっぱり伝わらない。

マーシアスは国民のご機嫌をとるぐらいなら追放されたほうがマシだ、と自分を曲げない頑固なおじさん。しかし母親や妻に涙ながらに許しを請われると、自分の信念を曲げてローマ攻略を諦めるが、その結果仲間に裏切り者扱いされて殺されてしまうって話だが、よく知らんが、どんな豪傑でも家族への想いは別格よとでもいいたいのだろうか・・?よく知らんのでこれ以上は何も言わないでおくが。

特筆すべきはマーシアスのお母さん、ヴォラムニアの存在。このシトはすんげえ存在感がある。こいつはすげえ。徹底的な兵士の哲学でマーシアスを強靭な武人に育て上げたこの女は、息子を戦地に送り出すことを最大の名誉としている。息子の名誉や手柄こそが最大の喜び。そのためには息子が戦死することもやむを得ないと断言してやまない。狂信的な国家主義者か自己愛人間か知らないが、その信念はマーシアスに劣らず徹底されたものである。復讐に燃えるマーシアスがローマに迫るとマーシアスの前で涙ながらの演説をぶってみせるが、それは徹頭徹尾マーシアスの人としての情愛に訴えかける官能的なものである。母親であるということを最大の武器として攻撃的な説得を繰り返す。その結果マーシアスはローマ攻略を諦めローマは護られる。ママはその功績をたたえらればっちり軍服で正装してびしっと敬礼してみせる。その毅然とした瞳は全く息子の方を向いていない。マーシアスに向けた甘言も涙さえも彼女の戦術でしかなかったように思える。失意のマーシアスはどこか腑抜けてしまい、このあとオーフィディアスに遅れをとってしまうのだ。

結局
パパとママの愛情が足りなかったのかキサマ!というリー・アーメイの声が聴こえてくるような気もするが、解釈に関しては他の人の批評をみてください。「シンドラーのリスト」でアーモン・ゲートという恐怖の暴君を演じたレイフ・ファインズが独裁者を演じるという前評判で即座に観る事を決意した本作であったが、アーモン・ゲートほど突き抜けた悪役ぶりは一切見られなかった。ここは期待はずれである。でもスキンヘッドのレイフが屈強のスキンヘッドの集団を率いるサマはどう観てもネオナチ(笑)。狙ってるのかなんなのか・・現代風に焼きなおすのも違和感バリバリだし、登場人物の心理描写も唐突で説明不足。舞台演技ってのはそういうものかもしれないが、一般受けするはずないですよ。この内容では。

でももしホットトイズでフィギュア化されたらアーモン・ゲートリスペクトで買ってしまうと思うが(笑)。


これじゃどう観てもネオナチだ(笑)

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