フォーリンフィールズ

黒い血に染まるボスニア

風刺度 100
反戦メッセージ度 100
虐殺度 100
総合得点 75

エグゼクティブ・プロデューサーは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を送り出したペーター・アールベイク・イェンセンでボスニア紛争が舞台ともなればもうどんな映画かは想像できるというもの。

ストーリーは
スニアに停戦処理のために派遣された国連軍兵士が、海外の軍事マニアを対象に安全な殺人ツアーへご案内いたしますという、想像以上に暗いもの。



「黒い血に染まるボスニア」というキャッチが全てを物語っているが、戦争でさえない快楽のための殺人に海外からの金持ちを招待する国連兵士という構図はとても暗くて皮肉なものである。これはボスニア紛争の停戦に国連が仲介したものの、停戦するどころか事態を悪化させたことを告発する風刺映画ではないのかと感じた。

現実にこんな話はないので、この映画はフィクションであるが、本当にあっても変じゃないなという緊迫感とリアリティは持っていた。

見所はセルビア領内に侵入して平和に暮らしているだけの民家を襲撃するシーンに集約される。人は快楽のために人を殺してスカッとできるのである。案内役の国連兵士はいかれた男で、或る村に食べ物を目当てに侵入し、女を犯し、その両親を殺害する。この殺し方の鮮やかさは大したものである。主人公は一応いるのだが、ほとんど存在感はないし、はっきり言っている意味がないと言っても過言ではないほどに影が薄い。国連兵士が快楽のための殺人を幇助するというシーンを撮りたかっただけの映画ではないだろうか。後半ストーリーは退屈で味気なく、どうでもいい終わりかたをする。ボスニア紛争の経過において国連の力不足を激しくなじっているという印象しか持たない映画だ。決して名作とは言われない地味な映画だが、逃げ惑う無抵抗の村人をライフルで狙撃して「ヒャッハーーー!!」と歓声を上げる軍事マニアのおっさんは見所である。所詮外国の戦争など関係ないものにとっては娯楽に過ぎないのかもしれない。或る者は利いた風なきれいごとを言って善人ぶり、或る者はテレビで映った戦車のプラモデルを組み立て、或る者は戦争の起こった原因を博識ぶって語りたがる。身に覚えがおれにだってある。ボスニア紛争が世界から全く注目されなかったという或る側面を物語っている。

戻る