八甲田山

涙さえ凍る氷の行軍

寒い度 100
雪度 100
もういや度 100
総合得点 80


77年日本映画。
日清戦争の寒冷地戦で苦戦した日本陸軍は、ロシアとの戦争が現実味を増してくると寒冷地戦闘に万全の備えをする必要に迫られた。

そんな時局の1902年、上層部の思惑により選ばれた青森歩兵第五連隊210名、弘前歩兵第三十一連隊38名が、雪中行軍の武装や方法の研究、青森の海岸沿いの列車が機能しなくなった際にソリによる山中の物資輸送が可能かどうかの調査のため、一月の八甲田山の行軍演習に挑む。そこは地元民をして
「白い地獄」と呼ばしむる恐ろしい場所であった、、

三時間にも及ぶ大作だが、ストーリーは単純そのもので、
軍隊が山に登ってみんな死ぬ。そんなあらすじである。人間模様や当時の兵隊の風俗など面白くみることができます。

恐るべきは冬の八甲田山だ。体感温度マイナス50度と、
スターリングラードか?と見紛うばかりの環境。結局青森第五聯隊の210名中200名近くが凍死したという。その全滅のサマをじっくり撮っている。下手なホラー映画よりも恐ろしいといえる。

弘前第三十一連隊は遭難しなかった。

劇は史実に忠実にというわけでなく、
ところどころ脚色や創作が加えられているため、映画を観ただけで何かを語ることなどできないが、この映画の中では、青森と弘前の行軍隊がお互い競い合ったり見栄をはりあったりして、大所帯の青森連隊が準備も適当に油断もあり、ついには全滅に至る。だが理詰めで大所帯を避け無理のない行軍計画を立てた弘前連隊は無事に帰還する。日本陸軍の愚かしい見栄っ張りな体質と、それに翻弄され愚直に命令に従い結局死んでしまう末端兵士たちの悲しい忠誠心を描いている。

良くも悪くもこの時代らしい映画で、高倉健をはじめとした俳優陣の迫力ある演技、異常に過酷だったと噂されるロケも含め、名作と呼ぶにふさわしい作品だと思う。戦争を描いてはいないが、これも戦争映画と言っていいだろう。この行軍演習を無事に終えた多くの将兵も、日露戦争において猛烈に戦い、死んでいくこととなるのだ。


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