ハートアタッカー

ずっこけ邦題信頼の彩プロ

虐殺 90
戦場の狂気 100
ヤケクソ 80
総合得点 80

パチもんのようなひどい邦題。相変わらずだなあ。売る気あんのかよ、、配給は信頼の彩プロ(笑)。

2007年イギリス映画。
まあパチもんのようなタイトルのおかげで内容がなんとなくわかるといえばそうかもしれない。イラク戦争でのゲリラ戦を描いた映画である。付近の治安を預かる海兵隊と、テロ組織の戦いを描いている。といってもこれは立派な劇映画だがフェイクドキュメンタリーのような手法で作ってあり、いわゆるモンド映画。

ストーリーはなんなのかというと、イラクのハディーシャという街で2005年に海兵隊が住民をゲリラとして虐殺した実際の事件を扱っている。原題は「Battle for Haditha」でそのまんま。つまりこれは虐殺が行われるまでの実録犯罪モノとして楽しむことが可能。作りは丁寧で、手ぶれカメラに海兵へのインタビュー、砂漠の荒涼感を映した乾いた映像。なかなか高クオリティでリアルだ。イラクのゲリラ側の人間模様や攻撃に至るまでの心の動きなども割と描かれており、平等な印象。ただしかなりだらだらした流れである。

この手の映画、だいたい虐殺する側は心がみえないアイコンにすぎなかったりするが、海兵隊の日々のなんでもない日常をラミレス伍長を中心とした主人公たちにしぼってみせ、前半は彼らの緩慢な日常を描いている。

彼らがどのようなテンションで、どのような意気込みで、どのような態度でこの任務にのぞんでいるのか、まずはしっかり見せてくれる。まあ決して真面目ではない。言葉も汚い。アメリカ海兵隊は志願制が伝統で少数精鋭と言われるものの、前線に行く前にかなりのキチガイ教育を受け、疑問を持たぬ殺人マシーンへと変えられてしまうイメージがあるが、そのイメージのままでこの映画を観ても問題ないと思う。人間らしさは随所で感じるが、やはりどこかズレている。

爆弾攻撃が始まるとラミレス伍長は即座に付近を封鎖。仲間を殺され激昂し、そこらにいる無関係な民間人を殺しまくる。ラミレスたちは全く揺るぎなき殺戮本能で容赦なくトリガーを引き、ホールドアップした民間人を射殺し、母子の真ん中にグレネードを放り込む。汚い言葉でまくしたてながらねえ。幸せな新婚夫婦も射撃の練習扱い。
「やったぜ!みたか!一発でやっつけたぜ!」ゲームかよ。狂っとる。

テロリストはどこだおらー!てめえらかおら−!


新婚カップルも虐殺します



無抵抗な民間人はあっという間に掃討された。そりゃあそうだ。全然関係ない民間人24名が死亡。だがラミレスは英雄としてその日のうちに上官が昇格と勲章の申請をしている。

この虐殺事件が明らかになったのは偶然で、このような蛮行はほんの氷山の一角だったのではないかと疑われている。米軍は我々が思う以上にはるかに獰猛で残虐だったのである。インダストリアルメタルバンドの重鎮"ministry"の名曲「lies lies lies」のゴキゲンな重低音が米兵の狂った残虐性を効果的に演出している。曲名といい、この事件を隠蔽しようとしたユナイテッドステーツを象徴する名曲だ。



ラストでは心を破壊された人間の慟哭が描かれており、これは泣かずにはいられない。誰が悪いのか?
答えはどこにもない。


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