キャタピラー

芋虫

芋虫度 70
カフカ度 70
ジョニー度 70
総合得点 50

一度観れば十分と言う映画がある。これはその映画の最筆頭と言えるだろう。中途半端な映画だと思うが観るところがないでもない。

あらすじは方々と語られているので簡単に。戦争で手足を失い醜く顔はただれ声帯も聴力も失った芋虫少尉が家に帰ってくるという悪夢を映像化している。妻は一人でこの芋虫の面倒を観ねばならないが、こんなんでも食欲と性欲は一丁前で、妻はこいつのセックスの面倒までみてやらねばならない。女としてこれほどの地獄はないだろう・・。いたたまれない・・。

しかしこんな芋虫でもちゃんと目とか表情でコミュニケーションもとれるしちゃんとちんこはたつからセックスもできる。周りからは軍神軍神とあがめられ食い物恵んでもらえたりもするし、おそらく年金の様なものも入っているだろうから本当に役立たずと言うわけでもない。

妻はものすごくいやいや、本当に嫌そうにこの夫の面倒を見るが、次第に扱いも適当になっていく。昔受けたDVに対する復讐もしたいからけっこういじめるがそれでも何だか気持ちが晴れない。夫は中国娘をレイプしまくった過去がある。罪悪感に苦しみちんこがたたなくなってくる。妻は無理矢理またがり
どうして勃たないのよ!とぶん殴る。芋虫少尉はそうやってぶん殴られてるとレイプされてるような気になってきてますます萎えちゃう。この辺は大爆笑せずにはいられない。コメディとしか思えん。

戦争が終われば芋虫少尉は自分で入水自殺。妻は戦争終わった〜とバンザイする始末。この幕引きは乱歩の「芋虫」と言うよりはカフカの「変身」に近い。家の中の厄介者がくたばって残された家族は悲しむどころか、ようやく真の自由を得て晴れやかに未来へとまなざしを向ける。

劇中、中国娘レイプのトラウマを持つ芋虫少尉が何もできないから昔のことばかり思い出してだんだんヤケクソになっていく感じなど、「ジョニーは戦場へ行った」にも似ている。結局いいとこ取りしたコラージュ映画のようでもあるが、戦時の日本の村の異様な愛国ぶりや独特の風俗などから一種不気味な迫力を持つ映画である。

寺島しのぶのいやそ〜〜な介護っぷりは現代社会の認知症高齢者を抱えて世話させられてるお嫁さんの心理に近いものがあるだろう。本当に嫌そうな顔で素晴らしい。芋虫少尉殿の、食うこととヤること以外何もできない野蛮で下品な非人間ぶりもとても良かったと思う。映像として純粋におぞましく、食欲がなくなる感じで良い。軍服を着たダルマさんは不気味の一言。人間こんなんなっちゃっても中々死ねない。日本には何百万人も頭の呆けた高齢者がいる。戦時中の特殊なことではないことをわかって欲しい。

弱点は日本戦争映画に毎度のことだがクソ説教臭いこと、実写映像を簡単に使いすぎること、テロップの表示など説明過剰なこと、終戦に伴い玉音放送がかかって映画も適当に終わっちまうことなどが挙げられる。何故日本人は場面場面を切り取ってストーリーを掘り下げることをせず、毎度毎度出征から終戦まで丁寧にやってしまうのだろう・・。ナンセンスと言わざるを得ない。

スタッフロールは元ちとせの「死んだ女の子」が流れるのだがこれも違和感爆発。なんなんだよこれは。結局反戦映画だったのか・・。これがかかるということはそうなんだろう。どっちかと言うとジェンダーに関して戦争を通して説教垂れる映画なのかと思っていたが・・結局何だかよくわからん映画だ。娯楽度もゼロ。二度と観る事はないだろう。

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