地獄の黙示録

腐敗した戦争

悲惨度

100

難解度

100

地獄度

100

総合得点

85


 
ワタクシもながらくサイト運営をしてきましたが、最初のころに作ったページは今の感性で見ると見事なまでに手抜きである。雑だし。仕事がヌルい。何とも言えないゴミレビューが並んでいるワタクシのこのホームページですが、最初の頃に作った、いわゆる名作ほど残念なレビューが軒を連ねている。この「地獄の黙示録」もその代表だ。



フランシス・フォード・コッポラの79年の映画。ベトナム戦争の敗戦からわずか数年の時期にすごく苦労して作られた戦争映画の大作である。戦争映画と言えば、これ!という人も多いはずである。

おれは長年、この映画に関して適当なレビューを晒していた。そこはお詫びしたい。お詫びはしたいのだが、一見するだけでは、この映画の見所はビル・キルゴア中佐の第一騎兵隊の乱痴気騒ぎのみである。まあ、というのはいささか暴論だが、頭空っぽにして楽しめるのはここまで。以降はだんだん難解で、しかも眠い映画になって行く。

おれは何回も何回もこの映画は観たし、元ネタとされる「闇の奥」も読んだし、派生作品とされる「ブラッドメリディアン」も大好きな小説だ。しかしこの映画は、いかんともレビューし難い。なんといえば良いのか、すごく難しい映画なのだ。。今更何を書くのか?この映画はファンが作った解読ページもたくさんあるので、おれが今更何を言ってもだるい内容になりそうだったので、率直に好きなシーンなど紹介しつつ、思うことをだらだらと書いてオシマイにしたい。

ストーリーは(すごく簡単に書いてしまうが)、反乱将校のカーツ大佐を殺すよう命令されたウィラード陸軍大尉(空挺部隊所属)が、ムン川を哨戒艇でどんどん坂登り、カーツ大佐が作った謎の王国に潜入し、大佐を殺す、というお話だ。

途中、キルゴア中佐の騎兵(ヘリコプター)部隊に船を輸送してもらうよう命令を受け、ウィラード大尉はキルゴア中佐を探す。任務を伝えるが、キルゴアは「ここが片付くまで待て」というのみ。キルゴアは戦場でもおかしなテンションで、奇行を繰り返している。頭のネジが緩んでしまった狂気の男だ。ウィラードはやむなく中佐の作戦に付き合うが、サーフィンに頑なにこだわるキルゴアは「いい波が来るから」という理由でベトコンの拠点を奇襲。滅茶苦茶な理由だが、映像自体はものすごいスペクタクルで、「ワルキューレの騎行」をかけながらベトコンを問答無用に殺しまくる映像は、これぞ戦争という感じで実に滾るものがある。ナパームの映像もすごい。今観てもとんでもない。ここは説明不要だろう。。。名台詞もたくさん。。(例:チャーリードンサーフ!など)

その後は無事に船をキルゴアに運んでもらい、少数の特務班のみで川を上り、ベトナム戦争の色々な表情をウィラード大尉の目線で見つめる。こういうのはまるで「プライベートライアン」だ。しかしウィラード大尉はミラー大尉のように理知的な指揮官ではない。任務のためなら無実の少女も銃殺する。そもそもカミさんと別れてまで平和な祖国からベトナムの戦場へ舞い戻ってきた戦争狂の男だ。どちらかといえば、カーツ大佐と似た人種なのである。

圧倒的な戦力で、常に有利な状況であるにもかかわらず、結局この戦争は無駄に長引き、勝つことができない。勝てない理由は無数に浮かぶ。兵士の質の低下、軍内部の腐敗、快楽を我慢できないタチのアメリカ国民、、、ウィラードは真面目な戦争狂であるがゆえに、不真面目にダラダラ戦争を続ける祖国の姿に失望している。信念を持った優秀な兵士たちがいれば、少数精鋭で十分勝てると思っている。ここはカーツとほぼ同じなのだ。

ウィラードの部下として行動を共にする船のクルーたちも、社会の落ちこぼれとして、苦界に落ちてきた負け犬どもばかり。彼らの目を通してベトナム戦争の堕落と腐敗を観客は知るのである。

映画は長く、徐々にNGOの環境保全ムービーのようになっていくので、後半に行くほど眠い。しかし、カーツ大佐の狂った王国にたどり着くと、怪しさ爆発で眠気が覚める。カーツに心酔するイカれカメラマンのデニス・ホッパーもみどころだ。この人は頭のおかしい役がすごくハマる俳優だ。今作でもいいあんばいである。映画は観念的に終わるので、意味とか解説とかは他に譲る。ワタクシにはうまく説明できそうにない。

ワタクシが一番好きなシーンは、ウィラードの哨戒艇が規則だからと物資を積んだ民間船を拿捕して臨検しようとする。戦場では真面目な奴ほど余計なことをする。武器を隠していないか船の中を調べるが、兵士たちはイライラしまくりで結局少女が怪しい動きをしたからといきなり発砲し、機関銃などで皆殺しにしてしまう。少女が隠していたものは武器だったに違いない。しかし箱の中身は、、、、

このシーンがすべてを物語っているのではないだろうか。こんなことをしているようでは戦争には勝てない。この映画は徹底的に腐敗したアメリカが遂行した腐りきったベトナム戦争を描いた傑作なのだ。キルゴア以降もしっかり観てほしい。

 

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