>>戦争映画中央評議会

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帰ってきたヒトラー

不思議なほど何も言う気が起きない

 

大人の事情度

100

原作忠実度

50

ブラックコメディー度

70

総合得点

50


2015年ドイツ映画。

なんだか惰性で観た映画だ。これの原作小説は日本語に翻訳されたら即取り寄せて読んだぐらい楽しみにしていたのとはだいぶ対照的だ。

ヒトラー役のキャストが若すぎやろ、、、とのれなかったのである。まあ、この辺の話はブログでも散々ケチをつけたので繰り返す気はないが、「ケーキを貪る廃人」と評された末期フューラーの面影が全然ないのだ。あと背とか高すぎるし。骨格も良い。筋肉質で肌もつるつるだ。ヒトラーを美化するのは感心できない。これはヒトラーを美化していると言われても仕方がないと思う。

 

細けえことをうるせえなあ、と思うだろうが、これは原作小説を読めばわかるが、映像やビジュアルなどの援護射撃がなくともかなり、だいぶヒトラーがかっこよく描かれている小説なのだ・・。

恐ろしい独裁者、ユダヤ人やスラブ人を何千万人も殺した戦争犯罪人も、真摯な政治家としての顔があり、菜食主義者で(ほぼ)独身を貫き、汚職に溺れることもなければ徹頭徹尾国のために働いたカリスマ指導者・・・とも思われている、そんなイメージがいまだ健在、というわけだが、そんなカリスマ指導者がまた現れたら、大衆は何の反省もなくまた彼と彼の政策を受け入れ、たやすく容認し、加担してしまうだろう・・・ほら、あんた(読者)もヒトラーがかっこよく見えてきたんと違う?どうよ?あの当時のドイツ国民の気持ちわかった?ほら、、ほら、、と迫ってくるタイプのサイコスリラーなんだよな。

これ読んでると自然とヒトラーを応援しちゃうし、言ってることは現代社会の問題点をズバリとついているようにも見えるし、民主主義がいかにも愚かしく、じれったく、回りくどいようにも見えてくる。独裁が甘美に、問題を解決する早道に見えてくる・・・・

もとよりそんなテーマを持つ小説だ。だからこそ、ヒトラーのビジュアルを、史実を捻じ曲げてまでかっこよく描くことには議論がなされてしかるべきだったはずだ。

まあ、それはとりあえず置いておくとしても、原作とストーリーがだいぶ変わっているので、なんだかそこも違和感があった。ヒトラーに犬を殺させるくだりは、かなり無理やり感があったと思う。「このおっさん、犬殺したし嫌いになってね!」という製作陣の意向がはっきりみてとれるのだが、これは伏線で、のちに劇中のヒトラーが劇中の大衆に批判されるために必要だったわけなのだが、この例に見るように、わざわざ犬を殺してみせねばならぬほどこの映画のヒトラーは魅力的なわけである。

また、この映画は徹底的に、観客と劇中の大衆がシンクロするような演出を入れまくるのだが、原作にそのようなわざとらしさや押しつけがましさはなかった。説教臭さも。ただポンと、現代にヒトラーが現れたら大衆は彼をどう受け止めてしまうのだろう?という真摯な疑問があったように思った。読者もそのような素朴な疑問をもとに読み進めるはずだ。

とにかくこの映画は、結論ありき、「ヒトラーは結局悪い奴だし、受け入れちゃだめです、、でもかっこいいところもあるんだよね。。。」という思考の誘導みたいなものがすっごくくどくて、イマイチのれなかったんだよね。。

「わがソートー!」の秘書がユダヤ人だとわかったときの、ヒトラーの反応、おばあちゃんに説教された時の秘書の反応も、原作小説では見事なものだったが、映画ではヒトラーは単なる三下の悪役のような反応。秘書の反応もほとんどカット。この辺の改変も少し違和感ありだ。(一番大事な部分なのに)

まあ、原作がけっこう良かっただけに、映画にはこれを超えてほしいという期待があったので、ハードルがあがっていたのは確かだが、できれば映画を楽しんだ人は原作を読んでみてほしい。


 

 

 

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