高地戦

朝鮮戦争映画の金字塔と呼ばれることになるであろう

ヤケクソ度 100
厭戦度 100
正統派度 100
総合得点 85

2012年韓国映画。

久しぶりの韓国産朝鮮戦争映画だ。最近はネタも使い尽くしたのか、はたまた客が飽きたのか、朝鮮戦争映画って減った気がするのだが、これは本当に久しぶりの一作だ。

結論から申し上げれば、これは本当にすばらしい会心の一作である。
戦争映画としてみた場合、欠点を探すのが難しいぐらいの高クオリティ。なぜこれが単館上映で、しかも短期間で終了するんだ。話題にもならずにおれも映画館で観ようとしたが果たせず、今回のレンタルの運びとなった。残念な話だ。是非劇場でみたかったものだ。おかしな偏見を持たずに戦争映画が好きな人は観るべきである。これみてパッとしないなら戦争映画はもう観なくてもいいんじゃない?そう思えるほどである。

1953年、朝鮮戦争の停戦間近のこの時期にとある高地をめぐって朝鮮人民軍と韓国軍が死闘を繰り広げていた。何度も何度も奪い奪われるこの丘に象徴されるように、もう終わるすぐ終わると言われ続けて3年余。いつのまにやら死者は50万。もうわけわかんねえ。なんのためにいつまでやるんだか。いいかげんにしてくれよぅ!という具合に、両軍はいい塩梅にヤケクソな感じになっているわけである。その最前線の、ひたすらに丘を奪い合う両軍のお話だ。(この丘自体は創作らしい)

もううんざりよ・・早く終わってよ・・という厭戦気分が強くフィーチャーされているのは最近の流行りですね。個人的には戦争映画にこういう厭戦感情を持ち込むのはもはや必須だと思う。なければ逆に変だろう。

ただ、泥まみれクソまみれの戦闘を描きまくっているだけかといえば、そんなんではなく、戦闘シーンは多すぎず少なすぎずでちょうど良いと思う。むしろ部隊の主役とその周辺の仲間たちの人物描写に力をいれており、そのキャラ配置はテンプレートに忠実だが、まあ無難だと言えるし、悪くない。

キャラに感情移入を一切させないやり方もあるが、個人的にはこの映画のようにじっくり時間をかけて感情移入させる方が好きである。「戦争のはらわた」のような頼りになる隊長、世話焼きの軍曹、右も左もわからん新兵、寒いからと敵軍の軍服平気で着ちゃうベテラン兵、無能で嫌な中隊長との確執などなど…基本だが安定感もある。こう書くと「戦争のはらわた」に強い影響を受けていることが推測できるのではないか。

また、同じ民族だからと敵軍の描写も丁寧なのが韓国戦争映画の良いところと言っていいと思う。おかしな偏りや思想くささはまったくない。ここも高ポイントである。

個人的に"2秒"のエピソードには巨大な?マークが浮かんだものの、設定自体はキャッチーで良いと思う。日本のアニメ製作者とかがこういうの好みそうだよな。。「亡国のイージス」とかを思い出した。戦争映画が持つおっさんくささを緩和する効果はあるのだろう。(しかし着弾して2秒後に銃声が聞こえるから"2秒"と呼ばれる狙撃者…何度考えてもそれ変じゃねえか?「680メートルから狙撃しているのか!?」って驚くシーンもあるが…それだと弾速が
光速ってことにならないか??まあいいけど笑)

攻めて攻められ戦友はどんどん倒れて行く。敵軍もやってられないのは同じ。いつまでやるんだか…そんな中ついに停戦協定が結ばれたがその実効は12時間後。停戦だー!やったー!と喜んでいたらあと12時間あるんだからもう一戦やってこいこの野郎、とケツを叩かれ、
ベソかきながらまた丘に向かう兵士たち。これはマジ泣ける。厭戦気分を演出するという意味では新しい手法で、おれは完全に騙されたね。このまま終わっちまうのだと思っていたら、まだまだ地獄はこれからだった…ネタバレはしないが、こういう展開に陥ってハッピーエンドになるはずないということぐらい、おわかりになるだろうと思う。
※朝鮮戦争は1953年に停戦するのであるが、実際1951年ぐらいから停戦交渉は始まっていたが、お互いの利害が一致せずダラダラとながびいてしまった。韓国側がこういう主張をしたくなるのは至極当然だろう。

ん〜。。おもしろかった。。"2秒"周辺のエピソードにはイマイチのれなかったが、ああいった戦場で凄腕のスナイパーが恐れられるというフレーバー自体は好きです。この映画は政治的にも偏向がなく安心して観れる本格戦争映画で、伝統的な作風に韓国の勢いと若干のオリジナリティを詰め込んだ一作で、かなりオススメできる。DVD買おうっと。。

 


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