ジョニー・マッドドッグ

死にたくなければ生まれてくるな

虐殺度 100
少年兵度 100
救いがない度 100
総合得点 95





2008年フランス映画。

これはここ数年で一番の戦争映画。久しぶりに戦争をみせてくれた映画だといえる。まず上の写真の色とりどりのド派手な少年兵たちを観て欲しい。これをみて貴方は何を感じるだろうか。

内戦中のアフリカで少年兵のみで編成されていたコマンド部隊があった。この少年兵たちは革命を目指して政府軍と戦いながら、村々を襲撃し無差別に強盗強姦略奪放火殺人・・一切の情けもなく野火のように苦痛と死と恐怖を撒き散らしていた。少年兵たちは大人にライフルを突きつけられ、「死ぬか殺すか」二者択一を迫られる。そうやって
自らの肉親をぶっ殺し兵士に仕立てられた闇の落とし子たちである。親さえ殺した彼らにアカの他人にかける情けなど小指の先ほども残ってはいないのだ。

全編殺戮と流血と銃声と悲鳴で占められるこの映画は、近年稀に見るほどに荒々しい戦争映画といえる。主人公はジョニー”マッドドッグ”というコマンド部隊の隊長を務める15歳の少年兵。親を殺され有無を言わさず銃を握って人を殺したり殺されたりする世界へ投げ込まれた。その残虐性は無垢だが容赦ない。簡単にトリガーを弾く。同時に悲しいまでに愛情に飢えており、軍隊という擬似家族で唯一の大人を将軍と呼び父親のように慕い命令には絶対服従する。利用されているだけとも知らずに盲目に・・。戦場では容赦なく殺すし、女にも手を出さずにはいられないが、愛情には飢えているからガールフレンドが死ねば涙も流す。戦争が終わって軍隊もなくなり擬似家族も目の前から消えると、孤独に怯えて泣き崩れるサマは結局タダの子供のそれ。しかしこいつはあまりにも多くの罪を犯しすぎた。アフリカにはこういう決して救われることのない魂がひしめいているのだろう。

常に最前線に投入される少年兵部隊と政府軍との戦闘、その合間で行われる虐殺や略奪、非戦闘員へふるわれる陰惨なのか陽気なのかさっぱりわからないような
人間のありのままの残虐性を描いた素晴らしい傑作戦争映画である。戦争映画が好きと自称する人ならば是非観なければならない作品だと思った。



特筆すべきは市街地戦にてある少年を捕虜として捕縛するが、よってたかって四方八方からカラシニコフを突きつけ口汚くののしりながらまくしたて、
最後には射殺してしまう。数に任せて銃も持たぬ非力な子供を容赦なく射殺する姿に我々は様々なものを思い出す。それは「炎628」のアインザッツグルッペンであり、「鬼が来た」の日本軍であり、「ランボー最後の戦場」のミャンマー軍であり、コソヴォ紛争のタイガー部隊であり、共産国の紅衛兵であったりするのである。大人がするなら子供はもっとする。子供は無垢だが善ではない。大人以上に自制がききにくいと言える。人間は暴力が大好きだ。それが本性だ。人間の大群に勝る恐怖はない。それが同じ思想と突撃銃によって武装されていたならなおさらだ。殺しはもはや罪ではなく刺激的なゲームになる。色とりどりに着飾った少年たちの楽しげな姿をみよ。まるでゲームのようじゃないですか。戦争ごっこも戦争も、彼らには大差ないのである。

舞台はどうやらリベリアのようです。監督はリベリア紛争で楽しげに着飾った少年兵たちの冗談のような戦場写真をみて衝撃を受けたという。この仮装ごっこはオオマジの話なのだ。かつてシエラレオネのダイヤをめぐる紛争を描いたブラッドダイアモンドという映画があった。ルワンダの大量虐殺を描いた「ホテルルワンダ」「ルワンダの涙」、ソマリア紛争での激烈な市街地戦闘を描いた名作「ブラックホークダウン」も忘れてはならない。異常にテンションの高いアフリカ系民族のカレーとコーラと味噌カツを混ぜて食わされてるような粗野でエネルギッシュで野蛮な黒人紛争映画のテッペンとっちゃった必見の戦争映画です。

ちなみに
この映画に出演している少年兵たちはモノホンの兵士だったらしいです。リアルなのは当然なのです。この映画はいわゆる心理学で言うサイコドラマのような役割を果たしたとかなんとかメイキングで語られていた。セラピーとして本当に効果があったかはかなり疑わしいが、元少年兵が戦場を述懐するところは狂気の一言。是非DVDでメイキングも観て欲しい。

劇中でリベリアとは明言されていないし、出演者たちは英語を喋っているがリベリアで英語をしゃべれるのは知的階層のみらしい。あえて国名をぼかし、アフリカで行われている普遍的な問題だと訴えているらしい。だったらそう言えばいいじゃないの。フランス人はいちいちキザだよな。もちろん褒め言葉だが。






死にたくなければ生まれてくるな!

 

 

 

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