モータル・コンバット 独ソ激戦地帯

独ソ戦を舞台にしたテレビシリーズ

狙撃度 100
諜報度 100
スメルシュ度 100
総合得点 80


この安い邦題…最低のパッケージ…古臭いセンス…
まぎれもなく
彩プロである。驚異のデタラメ露映画を多数配給している会社だ。なぜここまで安い映画ばかり集めるのか?ロシア映画のファンだから?おそらく、安いから。という以上の理由はないものと思われる。

もうおれも
彩プロのテーマソングをそらで歌えるぐらい彩プロ映画はみさせていただいたが、毎回毎回ほんと脱力する。。

しまった…彩プロだったか…と。毎回思うのだ、、

で、すいません。ここまでクソ味噌に書いておきながらこのこれは大当たりでした。おもしれ〜。。どうしたんだ?たまにはそういうこともあるのか?ロシア映画のクオリティが上がっているのか?わからない。

2012年の作品。

前後編とDVD二本立てになっているが、
れっきとしたテレビシリーズで、全四話のドラマ仕立て。じっくり見応えがあるといえばそうだが、下手をすれば昼寝を二回ぐらいするハメになる。ロシア映画にはそんなリスキーな感じが常につきまとう。

これは独ソ戦で、ドイツの暗号を解こうとするソ連諜報部のお話だ。こう書くとダメ映画「エニグマ」を思い起こさせるが(思い起こさねえか。べつに)、これはなかなか緊迫感のあるアクション映画かつ、サスペンス映画といった仕上がり。まあ安い映画じゃないのね?金かかってるのね?と聞かれると
いや、かかってないよと断言しますが、それでも面白いですよ。

イギリス情報部将校と協力してドイツの暗号を解こうとするソ連赤軍少将をガードする偵察部隊の奮闘を描く。

ドイツ側もこの危険な少将の存在に気づいており、刺客を差し向けて少将を亡き者にしようとしているわけだ。

見所は、情報戦の駆け引きで、少将のスケジュールがなんだかドイツ側にだだもれだ、、やたら襲撃を受けるぞ、、とソ連側が気づいてからだ。

そこで主人公の偵察大尉が恋人の狙撃手を呼び寄せ、ドイツ側の狙撃手との狙撃対決になっていくという伝統的ロシア映画の流れ。ヴァシリ・ザイツェフの頃からロシアの人々には狙撃対決がうけるのだろうなあ…

またこの恋人の狙撃手が凄まじい美顔で、かつ偵察大尉と恋仲であるというのも伝統的なロシア映画の王道。二人のラブロマンスも戦争の悲劇の度合いを強めるスパイスとして導入されている。ふだん恋愛要素は嫌いだがもう絵になりまくりなので邪魔に思わない。恋人が狙撃手で命のやり取りをしているからか、主役もいつ死んでもおかしくない危険な任務を遂行しているからか、二人のイチャイチャぶりはただただ悲痛にうつる。次別れたら再会できる保障はない。地獄の東部戦線、
ドイツ兵の何倍も死んだのは赤軍将兵である。誰しもが生還を期待できないのである。そんな状況だからこそ二人は命をかけて愛し合うのである。

さて、クサいことを言ってしまったが、
この映画は基本的に軍事オタクのおじさん向けであることは疑いない。マニアックな兵器、車両、設定。舞台は架空だと思うが、そこはうまく魅せてくれる。

ドイツ降下猟兵部隊と赤軍偵察部隊とのドンパチあり、息を飲む狙撃手対決ありと見所豊富な良質戦争映画である。

あとこの映画がニヤリとさせるのは、
スメルシュ("スパイに死を"を意味するソ連軍諜報部。極悪秘密警察NKVDから独立したさらに過激な戦闘監督部隊)の特務少佐がほぼ主役として登場・活躍するのである。なぜなら、ドイツ軍スパイがどうやら少将の警備隊の中に混ざっているらしい、ということがわかってくるので、ごく自然な成り行きとして登場する。

はっきり言ってスメルシュが登場する戦争映画というのはかなりレアである。またそれが主役級の活躍をするというのはほとんど記憶にない。またこの少佐が嫌味じゃない感じにいい役柄なのである。ほぼ本物の主役を食ってしまっている。おかげでほんとの主役は恋愛パートぐらいしか出番がない(笑)。まあそれもいいのではないか。

舞台はベラルーシで、赤軍がドイツから取り戻したばかりというタイミングのようだ。はっきり日時は示されないが
1944年秋ぐらいと思って間違いあるまい。史実ならソ連軍イケイケ爆走電撃コースであり、ちまちま諜報戦なんかやってたかどうかは知らないが、「東部戦線1944」のように割り切って楽しむのが正解だと思われます。

また、ロシアとドイツに挟まれた国ベラルーシ国民の
、どんなに努力しても幸せになれない感じもしっかり描写されており、スメルシュ部隊がスパイ探しに村を襲うシーン、村人を拷問にかけるシーンも描かれている。この富農野郎!と無辜の民をぶん殴る映像をしっかりうつし、でもこのスメルシュ将校も信念を持って仕事をしていることを臆せず主張する。

最近のロシア映画の魅力はこの政治的公平性である。

ベラルーシもウクライナも東ポーランドもバルト諸国も。

赤軍に祖父を銃殺されNKVDに我が子を吊るされOGPUに兄弟姉妹を餓死させられ、ソ連万歳!国際共産主義の尖兵たれ!となんだかわけのわからん教義を押し付けられる。彼らが対独協力に走ることを誰が責められようか。独ソ戦でドイツ人は彼らのそんな感情を骨の髄まで利用したのであ
る。



 

 

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