エリート養成機関 ナポラ

強者の哲学


弱肉強食度 100
厳しい訓練度 100
ディストピア度 100
総合得点 85


2004年ドイツ映画。

「橋」のリメイク映画で、少年兵の中にナポラ隊員が紛れこんでいる設定がありました。原作の少年兵たちは異常に強い、ということでリメイク版ではその違和感を消すためにナポラ隊員を混ぜようとしたのでしょう。映画の出来は微妙ですが、このアイデアはとても良かったと思っています。
ナポラってなんなんだ…観客にそう思わせることはできたでしょう。

「橋」のリメイク映画で、ナポラを混ぜようというアイデアは当然今回紹介するこの映画が視野にあったに違いありません。それぐらいこの映画は出来が良い。傑作と呼べるできだからである。

ナチス体制下で、貧乏な少年がいる。出世も何も縁がない。そんな暗い絶望的状況に光がさした。少年はボクシングの腕前で≪突撃隊≫や≪ヒトラー青年団≫の傘下にあるエリート養成学校"ナポラ"の教官の目に止まるのだ。まさにシンデレラストーリーだが、親父は超不機嫌である。ナチスに関わるな、入学なんて認めねえぞ
黙って工場で働けこの野郎、というわけである。困ったもんだ。

当事のナチスには
アドルフ・ヒトラー・シューレというもっときっついエリート養成学校があった。手塚治虫の「アドルフに告ぐ」はこのアドルフ・ヒトラー・シューレを日本で描いたほとんど唯一の作品である。

さて、少年は家出して親子の縁を切る覚悟をしてまで、ナポラに飛び込む。

ナポラは全寮制で、閉鎖的環境の中で国家社会主義的エリートを養成していた。少年はそんな厳しい生活ではあったが順応していく。友達もできた。ボクシングも上達したし、校長とかも褒めてくれる。知事の誕生会にまで招待された。

貧しい環境でも腕一本でのし上がれる、身分差別のない理想社会…国家社会主義がいかに官能的に国民を誘惑したのか、その一端が伺える。そして
団結と忠誠。クールな軍服。少年が夢中になる要素は山とあった。

しかし…

徐々に見えてくる暗黒面。特定の生徒に対するいじめ…上級生のしごき…理不尽な命令…もともと腐敗した感じを戦争末期という状況が拍車をかける。

ある日下される命令…逃亡捕虜の処刑である。

学生たちは初陣だ。冬の森の中捜索する。そこでみた
≪フォルク(民族)≫の≪敵≫の正体とは…

一見理想的なナチス社会。だがその実態は残虐な全体主義国家である。弱いものは踏みしだかれる。少年の目を通して、観客もナチス政権の残虐性を理解するのである。そして少年が下した最後の決断は…

ストーリーと映像の美しさが神がかっており、構成も良く、派手さはないが大変観やすい映画。ナチスの異常なマッチョイズム、弱肉強食の勝利の哲学を味わえる良好な劇映画だ。強くオススメしたい。
強さを賛美するということは、弱者の存在を認めないという思想に容易に結びつくのである。

本物のナポラの写真や・・クソガキやで。。






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