パラダイスナウ

特攻隊との違いは何か?

ヤケクソ度 100
かたい信念度 100
興味深い度 100
総合得点 85

パレスチナはイスラエルに占領されている。

世界中の国々で、パレスチナ国民の主権をイスラエルから取り戻そうと考える国は、もはや皆無であるように思える。
外部からの救援はまず来ない。この状況下で闘争本能をもてあました若者たちが、占領者に対して牙を向くことを誰が責めることができようか?どうしてそんなことができるだろうか?

なにしろイスラエル軍ときたら化け物じみて強いし、これまで幾度となくおこった中東戦争でもその化け物ブリを遺憾なく発揮してきた軍事国家である。実戦経験という意味では世界最強クラスの軍隊だろう。

しかもパレスチナ人を差別して過去に様々な虐殺や迫害をしてきた。
そのような恐怖の支配者に立ち向かうには後ろから撃つという卑怯なゲリラ戦術以外にはありえないのだろう。

パレスチナ地区で貧しい車整備の仕事をする若者。こんなしょぼい仕事を占領されてる祖国で続けてなんになるだろう?これから何があるというだろう?楽しいことが何か起こってくれるだろうか?閉塞した未来に絶望し、絶望しかない祖国のため、そして何より自分がより良く人生を生きるため、彼らは自爆攻撃に参加する意思を明確に「組織」に示しており、その日が来るのを待っている。

ある日不意に下される攻撃命令。自爆は48時間後。覚悟はしていたつもりでもあまりに急すぎた。色々やることがある。家族との別れ、作戦の概要を上から聞かなきゃならないし犯行声明のためのビデオも撮らなきゃならない・・などなど。
「テロリスト」が自爆する前最期の一日をどう過ごすのかを丹念に撮っている映画である。

青年は父親が不信人者の汚名を着せられて殺された過去を持つ。だから自分は良き信者であらねばならない。自爆する意思は硬い。

将来に閉塞感を抱く普通の若者が自爆しているという現実に我々は何を思えば良いのか。

特攻隊も未来に閉塞感を持つ普通の若者たちであった。
戦術としてああしなければ対抗できないからやっていたというところも同じだ。
自爆すればその共同体の中で信仰心や忠誠を示すことができるので家族を楽させてやれるかもしれん。
逆に自爆を嫌がれば共同体の中で立場を失う。世間体という強い圧力があったところも似ている。
圧倒的な強敵に一矢報いてやるという強烈な敵愾心もあったであろう。

こう考えると特攻も自爆テロも似ている部分もある。
しかし特攻は民間人を標的にすることはなかった。
それがいいのか悪いのかは知らん・・

パレスチナのうらびれた汚い町並み・・威圧的なイスラエル軍・・そんな中でも家族を食わすために働かにゃならん若者・・楽しみの少ない世界で支配者の顔色を伺い苦行だけを背負って生きるぐらいなら、頭の中にしかない天国の方がいくらかマシなのだ。

この世は素晴らしい。戦う価値がある。
しかし人間はこの世が最悪だから戦うのだ。少なくともこれまではそうしてきたはずである。

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