>>戦争映画中央評議会

パリよ、永遠に

戯曲が元ネタ 大人向け

密室劇度

100

大人向け度

100

無益度

100

総合得点

60


2014年フランス映画。
ノルマンディー作戦後、ちょび髭は敵に渡すぐらいなら、とヤケクソでパリの焦土化を命令。これはデタラメではなく史実である。この直前に蜂起したワルシャワは徹底的に破壊され廃墟となった。現存するワルシャワの建物はほとんど再建されたものである。
「パリは燃えているか」というタイトルの映画が過去に制作されていて、同名の本もある。

 

この映画のパリ破壊計画やヒトラーの様子などはけっこう正しく描写されているようである。戦略的には全く無意味だが、既に爆撃で廃墟同然と化したベルリンに対し、パリだけが輝き続けるなど許せない、破壊してしまえという考え方らしい。これは総統命令であり、あらゆる命令系統の上位に位置する。現場はボスの無茶ぶりに無意味と知りつつ全力を尽くし、市内のあちこち、中枢部や駅やルーブル美術館、オペラ座、エッフェル塔…に爆薬を仕掛け、パリの70個ぐらいある橋を全部爆破してセーヌ河を氾濫させて洪水を起こしパリ南東部を水没せしめ、100〜200万人を殺戮する計画であった。手に入らないなら破壊する。わかりやすいちょび髭である。

あ〜それにしても本当に実行されなくてよかった。こんな目にあわされたら誇り高きフランス国民はドイツ人が1000回絶滅するまで報復したであろう。

……というわけでこの計画は未然に終わり、実行はされなかった、ちゃんちゃん♩でいいのだが、妻子を人質に取られこのアホな作戦に全責任を負うドイツ軍司令官コルティッツを、中立国スウェーデンの外交官がどうにかして説得するというお話。密室でジジイ2人が暑苦しく喧々囂々の議論をするシーンが大半を占めるなんとも言えない映画である。コルティッツは当時まだ40代だったはずで、いくらなんでもこのキャストはおじいちゃんすぎると思った。東部戦線ではセヴァストポリ要塞攻囲戦にも参加したベテランで、ユダヤ人の粛清にも関与が疑われている。まあ、東部戦線に従軍していればこの辺は当然なのだが・・・。この辺のお話もそれとなく会話の中に挿まれている。

会話内容はややナチマニア向けで、時期を考えれば「ワルキューレ作戦」が発生した直後であり、ドイツ軍側も動揺していたと考えられるし、その後の国防軍への粛清はけっこうハードなものであったので、妻子を人質に取られたドイツ軍司令官はちょび髭が落ち目と知りつつもやはりFührerとSS(親衛隊)が怖い。。なんか少しだけ悩む気持ちがわかってしまう。。

ワルキューレ

起伏に乏しい退屈なお話とはいえ、劇中の雰囲気作りは及第点で、ドイツ軍の制服が出てくればとりあえずご飯が食べれるという人なら普通に楽しめるのではないだろうか(そんな奴いねえか)。軍服の再現度はかなりのもので、たいそう美しい。まあ、メインキャストの多くはお年寄りなのだが…。戯曲が元ネタとあってかなり大人向けの映画と言える。

個人的には、すごく無駄なこと、全く無益なこと、意味のわからない作戦など、呼び方はいろいろあるけれども、こういうのを必死で夢中になって一生懸命やっているドイツ人の姿は本当に美しいし、胸が熱い(なんでだよ)。感慨しきりである。ドイツ人はこういう無駄なことを必死でやってるのが一番美しいし似合っている。ドイツ人の歴史のほとんどは無駄なことを一生懸命やった挙句の大失敗の連続である。そしてその大失敗の副産物で生まれた科学力や残渣物で世界の文明を牽引してきた。無駄なことを一生懸命やってそこに感動と人間讃歌が生まれることを教えてくれた。つくづく大ドイツは偉大である。

そんな大ドイツの「無益力」を今作もけっこう楽しめる映画かもしれない。歴史上こんな馬鹿なことを一生懸命悩みながら実行しようとした民族はいないだろう。大ドイツに献杯!ばんざーい!ばんざーい!V(ToT)V

 

 

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