戦場のピアニスト

トーマス・クレッチマンがドイツ将校としての市民権を得た出世作

やりすぎ度 100
ドイツ軍ひどすぎ度 100
歴史のお勉強度 100
総合得点 90

 ポーランドの実在したピアニストの人生を描いたノンフィクション。ワルシャワに侵攻したナチス・ドイツにより家族を失い、過酷な戦場を生きることを余儀なくされた主人公が、SSのホロコースト、ユダヤ人の反乱、廃墟と化したゲットーなどなど様々な悲惨な戦場を目にし、その末にナチの将校に命を救われるという皮肉なラストを迎えます。

この回想録は1946年に一度発行されたらしいですが、ドイツ人に救われたなどという内容の本が出版できるような世論ではなかったため、ドイツ人将校ではなく、オーストリア人として出版。しかし、それでも平等な視点で筆致したこの作品は当時の共産党当局に発禁処分を受けたそうです。98年に回想録の草稿を息子が発見し、ドイツで出版され話題を呼び映画化されたようです。

まさに「ありのまま」を描いたとてもシュールな重い映画です。映画館ではカップルが多かったけどデートの場で見る映画ではないのではないかと思います。後、ドイツ兵がちゃんとドイツ語を喋ってたのが嬉しかったです。ポーランド人は何故か英語なんだけど。。。主役の命を救ったドイツ人将校は彼のピアノの演奏に感銘を受け、「戦争が終わったら必ずラジオで聴くよ」と言ったのを最後に、寒さで凍える主役にコートを渡し、去っていきます。後に1952年にソ連の戦犯収容所で心身を病み、亡くなったそうです。このピアニスト以外にも多くのユダヤ人やポーランド人を救ったらしい。シンドラーとはえらい違いではないか。しかも感動するのはこの映画の監督のポランスキーも当時のゲットーから脱走する際に、ドイツ兵に見つかった経験を持っているそうです。そのドイツ兵はこう言ったらしい。「身じろぎ一つせずに走らない方がいい」と。戦勝国の娯楽戦争映画の一面的な物の見方に飽き飽きしている方は是非どうぞ。


ドイツ人将校、ヴィルム・ホーゼンフェルトの前で、二年ぶりにピアノを弾くピアニスト、シュピルマン その旋律は美しくも情熱的だ

長くなりましたが最後に、監督ロマン・ポランスキーの印象深い言葉をここに引用します。
「私はクラフト・ゲットーとワルシャワ空爆の生存者です。ですから、自分の幼い記憶を再現したいと考えました。また、できる限り現実に忠実に描くことも重要だと思いました。典型的なハリウッド映画のような作品にしたくありませんでした。・・・(中略)
彼(シュピルマン)はあの時代の現実をほとんど冷静で科学的と言っていいほどの、驚くべき客観性で描いています。彼の本には悪いポーランド人も出てくれば良いポーランド人も出てきます。ちょうどユダヤ人やドイツ人にも善人と悪人がいたように・・・。(後略)」


       
※以上の文章は「戦場のピアニスト」のパンフレットを参考に書かせて頂きました。



ひでえとこ その1
ある家庭に侵入してきたドイツ軍の分隊が「立て!」って多分住人に言ったと思うんだけど、足の悪い車椅子のじいさんは立てなかった。すると、ドイツ兵は車椅子ごとじいさんを窓から投げ落としてしまう。
・・・こりゃひどい。

ひでえとこ その2
ユダヤ人を整列させて、SS将校が適当に選んで撃ち殺すシーン。
・・・あれは参った。すごい従順に殺されるのを待ってるんですね。まさしく集団心理。学習性絶望。あのSS将校は背が高くてほんと血も涙もなくてすごかった。ハイドリヒは多分あんな感じだっただろう。あのシーンはおれの眼に焼きついた。

ひでえとこ その3
シュピルマンが訳もなくSS将校に殴られるシーン。
バシッバシッッ!!
「何で殴られるかわかるか?!」
な…何でですか?
「おおみそかだからだ。」
・・・あれはうけた。おおみそかって訳し方もうけた。

ひでえとこ その4
キャラメル一個を一家で分けるシーン。
・・・あれはもう…。ノーコメント。

ひでえとこ その5
ワルシャワ蜂起が鎮圧されてからドイツ軍の火炎放射部隊が一軒一軒細かくまわって町中を焼き払っちまったシーン。
・・・そこまでするのか?廃墟になった町を見て口が閉じなかった。ここは一番ひでえ。

 他にもひどいとこや感動したとこいっぱいあるけど、説明しきれません。なんと言うか実話の重みというか、他の真実が舞台のフィクションとは違って、これは正真正銘ノンフィクションなわけだけど、実話のドイツ軍が一番酷いね。

 

 

 

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