レバノン

戦車は確かに鉄の棺おけかもしれない

閉塞度 100
陰惨度 100
地味度 100
総合得点 65

82年に勃発したイスラエル軍によるレバノン侵攻、その初日を切り取ったモンド風映画。

戦車兵4人が主役で、劇中戦車の中でのシーンが8割を占めるこの映画は、
中東版の潜水艦映画と見ることもできるだろう。

普通フェイクドキュメンタリーは主観の材料は手持ちカメラだが、これは
戦車のスコープなんですよね。こういうのはありそうでなかったな。スコープごしに敵や味方や、自軍の戦争犯罪を見たりしてゲンナリする。そんな映画です。



話は地味だし戦車の中だけでは
物語も広がりようがないわな。敵の捕虜を戦車の中に連れてきたりして波風立てようとしてるけど、むちゃくちゃ地味な映画でした。
ラストは敵に攻撃を受けて戦車に乗って逃げ回ってたらいつのまにか↑みたいなひまわり畑のど真ん中に到達する。
僕がこの映画で一番感心したのはこのシーンである。とても美しい映像であった。

闇の中、死に物狂いで逃げ回りようやく戦車から顔を出したら一面花畑の青い空。戦争中とはとても思えないほどのどかで穏やかな風景だ。それは平和の尊さ、暖かさを象徴しているのだろう。
戦争なんかやめてみんな帰れよと。そんな主張が見え隠れしている。

監督は20のころにレバノン侵攻の際に従軍し、正に戦車兵をやっていたそうである。そのため監督が体験したリアリティある戦争を描写したのでしょう。
その結果この映画が娯楽性の乏しい閉塞感に満ちた映画になるのは仕方ないと思う。戦場というのはずっとどんぱちしているものではないらしい。かなり暇なところらしいからね。ある意味忠実な表現でしょう。

だが忠実すぎて中東戦争に無関心な日本人の魂を揺さぶることはこれではできないだろう。もう少しドラマチックに娯楽性を少し入れて演出するべきだったんじゃないかな。

戦車兵なんて普通の歩兵に比べれば安全でラッキーなポジションのように思えるが、よくよく考えれば逃げ出したくてもこんなデカブツ抱えて逃げるわけにも行かないし、戦車から出たらそっちの方が危ないし、
鉄の棺おけそのものだよね。潜水艦もしばしば鉄の棺おけと形容されるが、似たような息苦しさが戦車にもあるのだなと今更ながら感じた次第。

劇中使用される戦車はセンチュリオンのようですね。戦争映画好きの方は是非試してみてください。

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