レッドアフガン

戦車フェチ映画

戦車愛度 100
SF度 100
女の集団は怖い度 100
総合得点 90


88年アメリカ映画。

放題がなかなかいいですねえ。
ソ連のアフガニスタン侵攻が舞台だというのは一回聞いただけで覚えられます。

ソ連の侵略に怒った各国のアラブ義勇兵は、聖地アフガニスタンに集結し、10年がかりのゲリラ戦で赤い帝国を撃破し、侵攻ソ連軍はついに撤退した。そしてその直後ソ連邦は崩壊してしまったのである。彼らはソ連に勝ったという自信を持って今アメリカと戦っているのだね。

と、グダグダ言わなくても、この映画に関していえば、アフガニスタンの戦争について何も知らなくても問題なく楽しめるでしょう。全然いらない(笑)。

その昔「鬼戦車T-34」という謎のソ連映画があった。T-34といえば大祖国戦争における勝利の立役者!戦車を神聖視するむきがロシア人にはある。

このレッドアフガンも戦車大好き、戦車マニアが作った映画だ。だがアメリカ映画なので
ソ連兵が英語をしゃべるという明確な欠点を持っている。これは雰囲気台無しで個人的にかなりの減点項目となる。

だがこの映画はその点を差し引いてもかなり秀逸な戦争映画だ。かなり個性的でもある。

映像が大変美しく、アフガニスタンの乾いた岩だらけの何もない荒野、禍々しい太陽、どこにでも入り込む砂粒…寂寥感をかりたてる音楽…

SFちっくな雰囲気もすごい。劇中のアフガニスタンの雰囲気は
砂漠の惑星タトゥーインそのもの。そこで静かに暮らす民族衣装の人々の元に死の使者が襲いくる。侵攻ソ連軍の戦車団だ。

戦車団は何の躊躇もなく砂漠の民の家々に砲火を開き、家屋を破壊し、人々を焼き殺し、全てを踏み潰し、蹂躙する。村を制圧すると戦車からはガスマスクを着用した装甲兵がおりて来て、建物を焼き払い、家畜を撃ち殺し、井戸には毒を投げ込み、家々を爆破する。その光景はソ連兵が英語をしゃべっているのも手伝い、全く現実感がなく、他の惑星の出来事のよう。芸術的で美しく退廃的な冒頭シーンである。


平和な村に・・


不意に空爆が・・


砂埃と共に現れるソ連戦車!


容赦なく砲撃!




戦車に石持って殴りかかってくる美女軍団(笑)


戦車からはガスマスクの集団が降りてくる。みんな武装しているぞ。


オラオラー!焼き尽くしてやるぞおら〜!


井戸には毒だおら〜


家畜だって生かしちゃおかないぞおら〜


邪魔な塔はRPGでぶっ壊してやるぞおら〜


こうして改めて見てみると、井戸に毒を入れたり家畜まで殺す徹底ブリは、上層部より
焦土作戦を命令されていると解釈してよいのだろうか?アフガニスタンのゲリラに水や食糧を与えないという目的がありそうだ。

作者の戦車フェチ度は凄まじく、戦車を愛し、かっこ良く撮ることに対するこだわりがひしひし感じられる。

劇中の戦車はT-54/55。実際使用されている戦車はイスラエル軍が中東戦争で鹵獲したTi-67。これは非常にかっこ良い戦車で、砲撃シーンなどは空砲を使っているとのことだが、大迫力で実弾を撃っているようにもみえる。こういうのはCGまみれの現代映画ではあまりみられなくなったよねえ…

戦車もかっこよくとは言うものの、この映画は過酷な地形で故障や補給不足に苦しむ
戦車のしょっぱさもゲップが出るほど描かれている。対戦車兵器RPG-7を持ったゲリラには戦車といえど簡単に狩られてしまう。製作者たちはそんな戦車の儚さも含めて愛しているようだ。戦車とゲリラの追いかけっこが見所。

戦闘シーンは大迫力!今観ても遜色はないと思う。ゴア描写もけっこうきつく、戦車に轢き潰された死体、破壊された家屋の焼け跡で黒焦げになった死体、毒を飲んで腹が膨らんだ死体など死体の描写にもなかなかのこだわりを見せており、なかなか楽しい(笑)。

登場人物のキャラも立っており、戦車マニアの戦車長はかなりいい味出していました。決して任務を放棄せず、死ぬなら戦車の中でと決めている。部下にも恐怖と暴力を駆使して威圧的に接する。暴君さながらに。だが極めて優秀で冷静な軍人で、不屈の信念を持っている。

またこの映画で印象的なのは
アフガンの女たちだ。ソ連軍に家族を殺された女たちは戦車に石持って殴りかかる。その暴勇には狂気が漂い、女たちの恨みの深さ、激烈な信仰心が伺える。色とりどりの民族衣装の美女集団がギャーギャー喚きながら石持って殴りかかってくるサマはまことにシュールで、この映画の幻想的で非現実的な空気をいっそう深めていると言える。


こわ〜・・

このようにこの映画はロシア人が英語をしゃべるという明確な欠点があるにもかかわらず(というか英語を喋っているからこそSFっぽい空気が醸成されているような・・)、見所豊富で単なる戦争映画と一括りにできない、奥深さを感じさせる良作である。冒頭の村の襲撃シーンは絶対観て欲しいなぁ…僕の映画人生で最も好きなシーンの一つです。

ラストはアメリカ映画らしく、ソ連軍に説教かまして終わる。



 

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