西部戦線異状なし

反戦映画の原点

反戦度 100
原点度 100
悲劇度 100
総合得点 80

1930年アメリカ映画。
第一次世界大戦が終わって反戦ブームが起こったそうですがそのときの映画でしょう。徹底して戦争の悲惨さや無意味さを強調している。反戦映画の原点ともいえる名作です。

ドイツ側の視点で描かれるが、言葉は全部英語。

無責任にナショナリズムを煽り、若者を戦争へと追いやっていく教師。生徒は影響されて次々と戦争に志願する。しかし実際の戦場は生易しいものではなく、大砲と機関銃と鉄条網と塹壕の地獄だった。食料もろくにとれず、塹壕から出ることもままならず憔悴しきっていく兵士たち。主人公は無思慮に軍隊に憧れたことが実に浅はかだったかを戦場を通して思い知らされる。そして戦場で犯したはじめての殺人。主人公は取り乱し、死体に向かって何度も謝る。かなり悲しい光景である。軍服を着ていなければお互い友人になれたに違いないのに。虚無感が募る。

そして久々に与えられた休暇で祖国に帰ってみるとあいもかわらず年よりは若者にナショナリズムを教え込み、戦争へと煽り、戦線の拡大を主張する。最前線がどれほど苦しいかも知らず、「パリに攻め込め」という。主人公は居場所を感じられず、休暇を予定より早く切り上げ自ら地獄へと戻っていく。母親はそんな息子を見てどうすることもできず暖かい下着を荷物にしのばせることぐらいしかできない。孤独を癒してくれるのは実際に最前線で戦う戦友のみ。結局軍人は戦場が家なのだ。誰よりも戦争を忌み嫌うのに戦争しか帰る場所がない。戦争の犬だ。

しかしその戦友もあっさり爆撃で死ぬ。疲れきった主人公は戦場に止まった美しい蝶に見とれ、塹壕から微笑みながら手を伸ばす・・・そして衝撃のラスト。この映画に一切の希望はない。反戦映画としては最も古く、悲しい映画である。後の反戦映画に影響を与え続けている作品に違いない。

 ちなみにこの映画はまったくエンターティメントの要素はないので軽く観るのはお勧めしない。マジで戦争について考えてる人にのみお勧めできます。

戻る