戦火のナージャ

東部戦線の地獄

スターリン妖怪度 100
火炎放射度 90
ダラダラ度 80
総合得点 80

2010年ロシア映画。
これは何でも三部作の二作目ということで、前作も何も全くみてない上で鑑賞したので底の浅い感想になると思いますが、戦争映画としては中々優秀な作品だと思います。

というわけなのでストーリーはよくわからないので割愛します^^;
とりあえずこれは独ソ戦が舞台なので、
当時のスターリン体制下の恐怖政治や、独軍との情け容赦ない死闘を楽しむことができます。その二点に関して言えば、これは非常に優秀な映画で、伝統的な戦争映画風作品という趣で単独でも観賞に耐える作品です。

見所をいくつか挙げるのみに留めます。
@スターリンが出てくるんだが、これが迫力たっぷり。アバタだらけのグルジア小男という風情を忠実に再現しつつも妖怪じみた存在感で言葉を失う。下に画像を用意した。


うほっ こいつはやべえぜ(笑)

Aドイツ空軍が印象的に動員されている。
あるシーンでは開戦時の混乱渦巻く敗走中のソ連軍と民間人に機体音を響かせ来襲し、容赦なく爆撃、機銃掃射を浴びせる。

あるシーンでは負傷者満載の赤十字の病院船に対して急降下爆撃の演習中、爆弾の代わりにクソ垂れようとケツ出した空軍パイロットに、負傷兵から信号弾を撃ち込まれパイロットは即死(笑)。逆上して攻撃すると、指揮官が「なんてことしてくれたんだ!」と説教する。おお…人道的じゃないのドイツ軍…と思った矢先、
「皆殺しにせねばならん!!全機聞こえたかっ!アハトンッ!!攻撃ィィ!!」といった有様(T_T)。く…くだらない…まるでコメディ。
しかしそのくだらないギャグがもたらした結果はといえば、阿鼻叫喚の中あっさり沈められる病院船。溺れる人々に機銃掃射を浴びせかけ駄目押しをする仕事熱心な軍人さん。どうでもいい理由で死んでいく人々。戦争の無意味さを実感できる名シーンである。ここは気に入りました。

Bヨーゼフ・フィルスマイヤーの「スターリングラード」を彷彿とさせるような、雪原でのドイツ戦車部隊との死闘を描いたシーンもありました。対する赤軍は身長183センチ以上の選抜されたお利口エリート部隊…とやはり犯罪者や脱走兵からなる懲罰部隊の混成中隊(笑)。エリート部隊は新品の小綺麗な軍服に身を包んでいるが実戦を知らないヒヨコちゃんである。
一方懲罰部隊は政治犯の汚名を着せられているが、実戦経験豊かなベテラン古参兵が多数おり、現場で役に立つのは結局後者である。

容赦なく迫り来る鉄の塊に対し、わずかな対戦者兵器と即席で掘った塹壕だけで立ち向かわねばならない。残兵は240名足らず。戦争に行くにしてもこんな状況にだけは陥りたくないものである(笑)。
しかし戦争映画としては燃えるシチュエーションであると言えるだろう。

肉薄するドイツ戦車部隊と敵味方入り乱れて、塹壕の中でスコップで殴り合うほどの白兵戦を繰り広げた挙句、
罪人もエリートも等しく玉砕。屍は雪原に放置され、降りしきる雪に埋もれ生きた痕跡すら残さず跡形もなく消えていく命の儚さ…人間が真に平等になれるのは死んだ後だけだ。ハリウッドには絶対できないと思える(偏見)文学的名シーンであった。素晴らしいです。




Cとある村で殺されたドイツ兵の報復に連帯責任だ!と村人を納屋に押し込んで油ぶっかけて火炎放射!
ロシアはドイツ兵に納屋を焼かせるのが国技になった感すらあるが、虐殺シーンマニアの私としてはそれなりに満足でした(笑)。しかし今回手を汚しているのは親衛隊ではなく、国防軍である。これも現実に国家社会主義の被害を被ったロシア特有の表現と言えるだろう。西側なら当たり前に親衛隊だったはずである。


おらおらー!逃げてんじゃねえぞおらー。


つべこべ言ってねえでこん中入ってろっての!


好きだねえ・・キミたち・・


嗚呼・・神はいないのか・・


いくつかのシーンを切り取って紹介しましたが、中々クオリティは高いですよ。ただ全体通して観ると、ロシア映画らしいダラダラとしたテンポの悪さは否めない。でも今までひどいロシア映画をみすぎたせいか、敢えて言いますが、
かなりマシ(笑)!前作や次回作も観てみようかなと思わせるに十分な健闘ぶり。

以下は推測。
この監督さんは、ドイツ軍よりもスターリンが嫌いみたいだね。何となくそう思いました。スターリン体制に虐げられる囚人が、ドイツ軍が攻めてきたというニュースを聴いて
「戦争か…唯一の救いだ…」なんて呟くシーンもありますし。

そういうわけでロシア映画だけど宣伝くささは皆無なので素直に娯楽作品と捉えて良いでしょう。細かいアラはあるだろうが、おれはなかなか気に入ったけどね。

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