縞模様のパジャマの少年

子供向けホロコースト映画

残虐度 40
安心してみれる度 100
でもバッドエンド度 100
総合得点 70



これは意図的にそう演出されてると思うんですけど、
子供向けのホロコースト映画です。

こういう試みは他にないと思うので、個性的な映画と言えるでしょう。

話はドイツの上流階級の子供がいて、ベルリンに住んでるんだけど、父親の仕事の都合でど田舎に引っ越すことになった。実は父親はナチス親衛隊の高級将校で、確か階級は
オーバーシュトュルムバンフューラー(SS中佐)だったと思う。(だったかな?適当ですまん)

この子供はなんでこんな郊外のど田舎に連れてこられたかわけわからん。お友達がいる街の方が良かったのに…だが子供の疑問はそのまま観客の疑問でもある。なんでこんなへんぴなところに…?それは徐々に子供の視点から明らかになっていく。

ある日子供はおかしなことを言い始める。「僕の部屋の窓から働いてる人たちが見えるよ。あれは農場?」そう言われたママも何が何やら。親父のオーバーシュトゥルムバンフューラーはあらうことか妻にまで自分の任務を内緒にしていたのである。

奥様は美人です。子役もかわい〜ですよぉ〜。

皆さんはとっくにおわかりでしょうが、
親父の任務は移送されてきたユダヤ人の絶滅である。子供が農場と呼んだのは絶滅収容所だ。この収容所のモデルはアウシュビッツと推測される。アウシュビッツ所長ルドルフ・ヘースは収容所のすぐ近所に自宅を構えて家族と住んでいたし、階級もオーバーシュトゥルムバンフューラーで、この映画の親父と同じである。ルドルフ・ヘースの息子がこの映画の主役と言えるのである。こういう加害者側の視点の映画が相当珍しいことは言うまでもない。

加害者といっても子供にとっちゃドイツの犯罪も無関係だし、責任があるというならそれは酷な話だ。子供は探検ごっことかしてたら偶然収容所のフェンスに到着し、フェンス際で仕事をサボってるユダヤ人の子供と出会う。ところがドイツ人のこの子供は
あまりに幼すぎて、まだ反ユダヤ主義に毒されていない。やっと見つけた同年代の男の子ということであろうことかこの"民族の宿敵"とお友達になろうとする。許されぬ友愛。そこから生まれた悲劇を描いた映画である。

この映画で一つ注意せねばならないのは、意図的にやってるのだろうが、だいぶフィクションが混ぜられていること。いわゆる
史実と違う!というやつだ。よほどのホロコーストマニアでもない限り、普通は違和感など感じないだろうが、一つ重要な点がある。

まずアウシュビッツは子供が生き残れる場所ではなかったということである。子供は真っ先にいの一番にガス室送りか人体実験の材料にされた。よしんば選別を免れたとしても、平均生存期間は大の大人でも三ヶ月であった。

労働は重く食糧は少なく、子供が物陰に隠れてノンビリ油をうるなどということは絶対許されない世界であった。まあこの映画はだからアウシュビッツと断言しないのかもしれないが。

親衛隊の息子とユダヤ人の子供は少しずつ友情を育んでいくが、やはりそれはこの狂った暗黒の世界では許されないことなのであった…。

子供からみた"愚かな世界"。
虐待されるユダヤ人の姿をみて、なんでそんなことするのか理解できない子供。
こういう演出は特別目新しくはない。この手の映画の個人的最高傑作は「ブリキの太鼓」だ。
まあもちろん愚かで残酷な世界に順応した(ふりがうまい悪魔的な)子供を描いたこちらと、わけもわからぬままの無垢な純粋さを最後まで持ち続けるこちらでは、だいぶ違う。こちらの方がファンタジーに満ちているし、だからこそ一般の戦争映画なんか観ないという人にも強烈な感動を与えられるかもしれない。家族と見ることも可能だと思う。残酷な描写はない。
でもラストは絶句するほどのバッドエンドで言葉を失うことうけあいだ。終始ほのぼのとしてて牧歌的な映画なのに。このラストは相当ひどい。目を疑うほどである。

親衛隊の制服に関していうとなかなか様式美に満ちていて良い。衣装担当の人がメイキングで
「かなりスタイリッシュな軍服です」と断言してたからね。なかなかにこだわりをもって描写されています。


軍服にはかなりこだわりがある映画で、ナチスファンは一見の価値有り。

言葉が英語なのが残念。

皆、血色・体格が良くて正直演出面に物足りなさが残る。


ラストはびっくりするほどのバッドエンド。




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