>>戦争映画中央評議会

セントアンナの奇跡

変わり種だがツボはおさえている

戦闘激しい度

100

イタリア度

100

殺しあい度

100

総合得点

80


変わった映画でしかも長いが、戦争映画としてはまあまあ良質である。それなりに金もかかっている。2008年アメリカ映画。

経歴的になんの落ち度もない男が、定年退職3か月前にいきなり人を撃った。この男は第二次大戦でイタリアへ従軍しており、そこで起こったできごとが殺人の原因のようなのだが、、

舞台は現代から1944年の夏のイタリアに飛ぶ。よくある流れで、だいたいこういうのは現代と過去を交互に並べてしまうが、この映画は「プライベートライアン」同様、現代パートは冒頭とラストのみ。安心して時代に集中できる。

過去に飛んで即始まるドイツ軍との戦闘シーンは、リアル志向の素晴らしいもので、部隊はほぼ全滅。落伍した4名の黒人兵士たちがイタリアの田舎を放浪、途中でドイツ軍の砲撃で怪我をした地元の子供をひろう。

 

この映画はとても長いのが難点。160分もあるので相当に心の準備をしてから観たほうがいい。だが物語の完成度は高く、ラストはなかなか感動できる。

黒人兵たちはやがて田舎村にたどり着き、部隊が合流するのを待つ。そこでイタリアパルチザンと出会い、パルチザンを追ってきたドイツ軍との戦闘シーンもある。この戦闘シーンもなかなか壮絶で見応えあり。このあたりをじっくり観ていると現代でなぜ殺人が起こったかも理解できるつくり。よくできたお話だ。

この映画は黒人部隊のしょっぱさを描いた映画といえる。彼らはアメリカ軍内にありながら、様々な差別と闘わなければならなかった。黒人兵も高潔な人もいれば、偏見そのまんまな頭悪い感じの兵士もいれば、ヤることしか考えてない性格の悪い奴もいる。人間模様も複雑で、長尺だし、かなりみるのにエネルギーはいる。同じようなテーマの映画で、「ザ・フューリー 烈火の戦場」や「グローリー」が挙げられるだろう。

この映画が良いのは、当時の時代背景をわりと真面目に勉強していることである。その当時、イタリアパルチザンとやりあっていたドイツ軍は第十六SS装甲擲弾兵師団「Reichsführer-SS」という武装親衛隊(WAFFEN-SS)である。この部隊は1944年の晩夏に確かにイタリアパルチザンの集団処刑や、報復に村を破壊したり、村人の虐殺をおこなってる。かなり極悪だった部隊である。(参考リンク)

その部隊による村人への報復シーンもあり、当時ゲリラの処刑と報復は合法とみなされ、暴力に歯止めをかけるものはなかった。そのシーンはかなり過激で無残である。赤ん坊まで殺す。イカれたシュトゥルムバンフューラー(SS少佐)がいい感じだ。このあたりは「やがて来たる者へ」という映画もほぼ同じ時代を描いている。でもこの映画はとてもつまらないので、この時代に興味があるなら、「セントアンナの奇跡」のほうが観やすいだろう。

ドイツ軍の描写も合格だ。ドイツ兵もまあまあ強いし、俳優もドイツ人でドイツ語しゃべっている。トーマス・クレッチマン並みのミスタードイツ軍といえるクリスチャン・ベルケルも砲兵将校として参戦。ドイツ軍ファンはとりあえず観るべき映画だろう。

東京ローズのドイツ版”アクシズサリー”が再現されていたのは興味深い 嘘のようだが本当にこういうのがいた

クリルチャン・ベルケル 赤い兵科色 今回は砲兵大尉か いい俳優

イカれSS少佐 この直後の殺戮シーンは滅茶苦茶残酷 観賞要注意

 

 

 

 

 

 

戻る