誓いの休暇

しんみり泣けます

平和の祈り度 100
牧歌的風景 100
愛国 50
総合得点 80

宮崎駿たんが好きな映画としてあげていることで有名。
「女狙撃兵マリョートカ」のグレゴーリ・チュフライ監督の59年のソ連映画だ。

ストレートな反戦映画である。
スターリンの死後、スターリン時代ってぶっちゃけツラかったべ?と過去を批判しても良いことになった。米ソの冷戦は続いていたし、ソ連は相変わらず共産主義を騙った強烈な国家主義ではあったが、かの「大祖国戦争」で失った人命を考えれば、それは常に英雄譚というわけにもいかず、日本映画のようなウエットさが見られることが多い。

とはいえ、この映画はかなり当局の妨害を受け、公開後、監督は党を除名されたそうであるが、だからこそ今観ても信用に足る映画である。

偶然ドイツ軍戦車を2輌しとめた若者が褒美に一時的なダモイ(帰郷)を許される。母に会って家の屋根を修理してあげたい。青年の純粋な心に将軍も特別に休暇を許したのだ。与えられた休暇は、行きに2日、帰りに2日、屋根の修理に2日とまあ、たったの6日である。とはいえ、これは将軍なりにとても気を利かせた処置であり、青年にとっても十分な時間であった。

青年はお人好しで、帰りの道中、色々な人と出会い、おせっかいをやいたり頼みごとを断りきれず寄り道する羽目になっちゃったりして予定よりだいぶ帰郷が遅れてしまう。おまけにちょっと可愛い娘と恋に落ち、その娘の世話を焼いていたらさらに遅れる。このみずみずしい恋愛は特にイヤミにも感じられず気持ちよくみれる。


荷物を運んであげたりしますよ


だが、超閉鎖国家の祖国USSRは、ドイツとの未曾有の大戦争を目下遂行中である。官民一体となってファシストの豚どもを追い払わなければならない。でも戦争なんてくだらないしやってらんねえよ。。何人死ねばいいんだよ。。心根でそう思うのは誰しもが同じであった。

別れの際にようやく2人はお互いに芽生えた恋心を認めるのだが、時代は2人が結ばれることを許さなかった。結局お互いの住所さえよくわからないまま、広大なロシアの大地で2人は別れ、二度と会うこともない。

行く先々で寄り道をし、おせっかいをやき、故郷へ着いた時には時間はいくらもなく、母親と再会し抱き合うが、時間はもうそこで尽きてしまった。1分でも原隊復帰が遅れればNKVD(秘密警察)に反逆者の烙印を押されて銃殺刑である。

少年は母と別れを惜しみつつトンボ帰りする。そしてロシアが描く「大祖国戦争」の大定番だがこういう場合、魅力的な主人公は常に生きて帰ることはないのである。

いくらなんて反国家的だ!
当初祖国がこの映画に下した評価はこんなもんだった。だが世界は高く評価した。鉄のカーテンで覆われた赤い帝国にこんな悲しいドラマがあったなんて。それまで世界は大戦で朽ち果てた800万人の赤軍兵士たちの物語に興味を持つことはなかったのである。

今みてもテーマは普遍的で、戦争によって純粋で善き人々が失われる悲しさや理不尽を学ぶことができる。

回想の中に蘇る東部戦線は常に黒焦げの鉄と灰の世界だ。しかしこの映画は最も優しく人間愛に満ちた東部戦線の映画であるといえる。おれのような悪党にはやや刺激が足りないが、是非みておくべき名画かもしれません。



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