トゥモローワールド

英国風絶望未来映画

ヤケクソ度 100
最後の希望度 100
長まわし度 100
総合得点 85

2006年英国・米国映画。

2027年ロンドンが舞台。
原因不明の不妊病が横行し、人類は18年間あたらしい子供が生まれていない。世界は希望を失い混乱状態。100年もすれば人類は絶滅し文明も消えてなくなる。人々はそのような世の中になってもまだドシドシ殺し合いだけはいつも通りにがんばっている。むしろヤケクソでテロや戦争が次々起こり、世界は崩壊。英国のみが奮戦中なのである・・世界は滅びたけどイギリス一国だけはがんばってますっていう設定が多いよなあ・・「28日後・・」も全く同じような感じだったように思う。そしてお決まりなのが緊急時だからかなり右翼的なファシスト政権が軍政をしいて人権抑圧してるという設定だが、これもいつもどおり。
でも一般市民は政治に無関心・・子供が生まれないんじゃ何したってどうにもならないじゃない・・滅び行く運命なのよ・・とみんな人生を諦めている。


テロはいつもどおりです。この冒頭の爆破シーンは良かった。プライベートライアンみたいだ。

子供が生まれなくなって自分の人生に即座に影響が出るわけではない。みんなこう思ってないか?地球なんて滅びたっていいよ。おれが死ぬまでそこにあれば・・と。
だが種としての未来が完全に閉ざされてしまっては、個々の人々にも緩やかに影響が出る。どうせ何をどうがんばったって滅びるんじゃ、誰もがんばらない。ひたすら無気力で自堕落になるしかない。
政府はトラブル起こすぐらいならさっさと死んでくださいと公認の自殺薬を配る始末。この映画はそのような世紀末というかヤケクソな空気をかもし出すのが大変うまくて、思わず観てるおれまでヤケクソになってくる。そんなヤケクソな国でもまだ秩序があるから移民がいっぱい来る。移民を虐待するファシストたち・・人間に対する諦めがすごい。客観的に過ぎる。好きだけど。

そんな風に全てを諦めている主人公。昔子供を亡くした過去を持ち、世の中までそんなんなっちゃってヤケクソ度合いが半端ない。しかし反政府活動家の元妻(ジュリアン・ムーア)の導きでとある黒人女性に出会う。政府に差別される移民だ。しかしこの娘は妊娠しているのだ。お腹は既にかなり大きく今にも生まれてきそうである。主人公のオッサンはこの娘をかくまって逃げることにするのだが・・。

とりあえず映画開始30分もしないうちに一番の大物キャストと思われるジュリアン・ムーアが
撃たれて即死。遺言1つなし。スローモーションにもならなければ悲しげな音楽もかからない。日本の映画屋はこれを見習って欲しい。この意外性は観客を不安と暗闇に叩き落す。このアクションシーンは4分以上の長まわしで、非常に臨場感があって良い。

もう死んだの・・?はやっ!

黒人女性を連れて逃げる主人公だが、逃げてる間に普通に生まれる赤ちゃん。かわいいですなあ。久しぶりにみるあかちゃんにみとれてしまう・・この赤ちゃんを救うためにこの親子は死んでも護らねばならない!

見所は更に後半、移民たちがいっせいに武力蜂起し、それを鎮圧する政府軍。これは6分以上にも及ぶ長まわしで、エキストラ数十人を交えての大乱戦。正にこの6分間は戦争の中に投げ込まれた気分になる。かなりアクションは激しい。そしてかなりの生々しさ・・。
戦争映画顔負けだ。命を生み出す力はなくしたが、命を奪う能力は相変わらず優れている人類。救いのなさがつのる。


戦車も出てきます。

一体いつまでどんぱちやってるんだ・・長い戦闘シーンはこの後のこの映画の最大の見せ場につなげるために必須なのである・・いつまでこんな愚行を繰り返すのか・・そういう気分に観客を追い込まねばならない。
乱戦の中で赤ん坊と母親連れて逃げる主人公・・周囲では依然地獄のような戦闘が続いている。しかし・・赤ちゃんがおぎゃあおぎゃあと泣き喚く中、全ての人々が赤ちゃんがいることに気付いて戦いを中断するのである。移民側も政府側も。撃つな!!発砲するな!!と。何が何やらわからんがとにかく赤ん坊がいる。もう生まれないと思った赤ん坊が・・
それは人類に共通する希望なのである。驚愕の眼差しで唖然とする人々。十字を切って跪く兵隊たち。これは大変に美しく大好きなシーンである。素晴らしい。感動します。


びびるみなさん


撃つなー!

この映画はこのシーンを観てもらえればいいと思います。終末系SF映画では傑作だと思うので興味がある人は観てみてください。




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