Uボート(DAS BOOT)

潜水艦映画というジャンルはここから始まった

緊張度 100
鬱度 100
もう潜水艦はイヤ度 120
総合得点 99



81年製作の西ドイツ映画。名前の通り、第三帝国海軍の誇るUボートの任務を描いた映画です。……これはすごいです。普通じゃありません。
これはもうほとんどホラー映画です。ってそれは冗談ですが、この緊張感は尋常じゃあありません。映画観ててお腹が痛くなってきたのは初です。

Uボートというのは通商破壊任務に限定使用された潜水艦で、初めは大戦果をあげましたが、戦争後期にはほとんどが沈み、任務についていた乗員の4分の3が戦死したという。「健闘を祈る」ってセリフが冗談になるぐらいの、そこは地獄です……。

この映画の最も優れたとこは、
「音」です。「音」。敵艦がすぐ上を通過する「音」。敵艦のソナー探知の「音」。激震と共に爆雷が大爆発する「音」。爆雷から逃れるために限界以上に潜行して、その水圧で艦がきしむ「音」。そして自分の運命を息をひそめて待つしかないその「沈黙」…。並みの緊張感ではない。

この映画を観て潜水艦に乗りたいと思う人はいないだろう。戦争の恐ろしさを嫌というぐらい味わえる傑作。発狂する乗員、恐怖でわめきまくる乗員、ただなす術もなく祈る乗員、写真(何の写真かはわからない。故郷に残した家族だろうか)を放心して眺める乗員…。この映画に英雄はいない。皆人間らしく、死に脅える。死に脅え、敵の生存者を見捨てる。泣き言ばかり言う。

「冷酷で巨大な現実が支配するところ」それがこの映画のテーマです。間違いありません。そして何故所詮は映画でしかないものから、ここまで恐怖が伝わってくるのかと言うと、それは演技力に他なりません。恐怖に脅えるその顔や息の荒さ、そして命が助かった時の喜びの表情、滅茶苦茶うまいです。ほんとに潜水艦の中にいるような気がしてきます。戦闘シーンとかも、監督はおそらく潜水艦というものを死ぬほど勉強したに違いありません。

そして、幾多の苦難を乗り越え、やっとたどり着いた母港で迎えた衝撃にして最悪のラスト。完璧な映画です。文句のつけようがない。「冷酷で巨大な現実が支配するところ」 うむ、伝わりました…。でももう二度と観たくありません。ほんとに疲れた…。しかし、最後まで戦い抜いた乗員には心から敬意を表します!とにかく部屋を真っ暗にしてみてほしい。




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