ユーボート −最後の決断−

無難な佳作

友情度 100
米独友好度 100
まじめ度 100
総合得点 85

かつて「U571」 というバカ映画があった。このバカ映画はアメリカ軍がユーボートをのっとって、味方から攻撃される危険を冒しながら、ドイツの難解な暗号機「エニグマ」を奪って帰るというハッピーなバカ映画だ。現実に、暗号を解読したイギリスは「エニグマを解読したのがヤンキーってことになってるぞこの野郎!」と怒った。アメリカの戦争映画はこんな感じのも多い。

なぜこんな話をしたかというと、この映画はU571のアンチテーゼともとれる映画だったからだ。
何もかもがあのバカ映画とは逆なのである。人間扱いされずバカで雑魚のドイツ兵、歴史歪曲、アメリカ万歳、コレとは全て逆なのだから、自ずと公平な印象を受けた。

すなわち、撃沈されたアメリカ潜水艦から、米兵が捕虜としてユーボートに乗り込むところから始まり、ユーボートの中で伝染病が流行って乗組員が次々倒れていく中、生還すると言う唯一つの目的に向かって、ドイツ兵とアメリカ兵が反目しながらも力を合わせてユーボートを操縦し、生きて祖国に帰ることである。本来なら捕虜をとらない方針のドイツ軍があえてアメリカ兵を助けたことから、アメリカ兵もそれを恩に感じてエニグマを奪えたのにあえて奪わずに本国に帰る。全くU571とは反対のラストである。

この映画の見所は敵同士の米独が、愛国心よりも同じ船乗りとしての友情を優先させたところにある。ただやっぱりなあ。ちょっと言いたいところがあるとすれば、捕虜を助けたばっかりにそいつらから伝染病移されてクルーは壊滅状態、その挙句、生き残るためにはやむをえないにしてもアメリカまでユーボートを操縦して、アメリカで降伏、ラストは捕虜収容所の中でトーマスクレッチマンが、捕虜だったアメリカ兵からドイツタバコをもらったり「貴方は勇敢だった」とか言われたりして、名誉を失わないようにしていたが、
結局豚箱の中のドイツ兵と、その外から余裕綽々のアメリカ兵という構図は、ほんのちょっぴり情けないものであった。これでは友情の美しさよりも「捕虜は助けないほうがいいんだろうなあ」という気持ちのほうが自ずと強まるのはやむを得まい。

と、ここまで考えてしまうのはおれがひねくれモノだからであろう。

色眼鏡をつけずに見れば、国家よりもオイルくさい船乗り同士の友情を優先させ、緊迫した潜水艦の戦闘シーンをも堪能できる、その上
トーマス・クレッチマンの男っぷりも楽しめる、極めて見やすい戦争映画だったと思います。戦争映画初心者にもお勧めできるぐらいスピーディーでわかりやすい展開の佳作だったと思います。

ストーリー上、ドイツ軍が名誉を失わないように様々な演出が施されていたが、
それぐらい演出をしないととても公平には見えない話だったととることもできる。でもこの監督はとにかくドイツ軍を悪一辺倒にはしたくなかったんでしょうね。ひしひしと伝わってきます(笑)。まあU571のように、イギリスとドイツの両方につばを浴びせかけて自国のみをマンセーする映画ではなかったといいたかっただけだ。そんなことよりもドイツ兵が操縦するユーボートの緊迫感あふれる戦闘シーンは遺憾なく堪能できますので、ドイツ軍ファンは問題なく楽しめます。

・・・公平とか不公平とかでしか映画を判断できなくなってる現状が悲しくなってくる映画ではあった。この映画の監督は俺と同じことを考えているような気がしてならない。

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