>>戦争映画中央評議会

やさしい本泥棒

普通の感動ドラマ

感動度

70

ヒューマン度

70

世界に冠たる度

100

総合得点

50


2013年のアメリカ・ドイツ合作映画。

1938年、開戦直前のミュンヘンを舞台にしたメロい人間ドラマである。

※ミュンヘンはナチ党生誕の地である

共産党員の母親が、安全のためにミュンヘンの田舎に娘を疎開させる。そこでは、若干イジワルできっついおばさんと、優しいおじさんがいて、少女はしんどいながらもそんな環境でがんばって生きていくことになる。

 

正直テーマ的にかなりだるい映画になっているのではないかと心配したが、まあまあ観やすい普通の感動作といった趣である。といってもおれ的基準の普通だから、けっこうアレなのかもしらんが、、ラストはけっこうバッドエンドである。

女の子は恐ろしく目のデカい美少女。金髪碧目で人形のように整った顔は理想的アーリア人種である(笑)。
でもママは共産党員で粛清済み(笑)。で、送られた先がエミリー・ワトソンの家(笑)。どんだけ不幸なんだ(笑)。

エミリー・ワトソンは「奇跡の海」という、ガイキチ映画で主演でした。気持ち悪い役でしたよね。。今回はイジワルで短気だけど実は優しいという、普通の役柄。よかったね普通で、、、

少女(名はリーゼル)は、最初無関心にナチの教育体制に組み込まれてユダ公を殺せなんて歌を歌ったりしているのだが、子供だし歌詞の意味はわかっていないのだ。普通に近所のガキとかけっこしたり、遊んだりお手伝いしたり義母にしかられたり、普通のガキである。

リーゼルは文盲であることを理由に他のガキからいじめられるのだが、性格も負けん気が強いため、いじめっ子をフクロにしたり、がんばって本を読んで勉強したり、、そんな日々が描かれる。

そんな中、ナチ党の焚書のイベントに駆り出され、本を燃やせと命令されるのだが、リーゼルは本が大好きで、なぜそんなことをするのかがわからない。初めてナチ体制に疑問を持つのである。

焦げた本を黙って持って帰り、義父に見つかるが、義父は黙ってそれを受け入れるのであった。いい話や。。

そんなこんなで、絶対あるだろうなと思っていたのだが、”水晶の夜”のシーンが挟まれ、ユダ公はいっせいに市民権を奪われる。そうやって事実上の難民になったユダヤ人青年マックスは、リーゼルの家に逃げ込み匿ってもらうことになった。

一つ屋根の下でマックスとリーゼルはただならぬ関係になっていくが、お話は「アンネの日記」そっくりの様相を呈し始め、マックスを隠しとおすために家族が一致団結する。そんな流れだ。

大戦が始まり、独ソ戦も佳境に。近所のおじさんたちも次々徴兵されていく。だれも生きて帰ってこない。そのうち都市に爆弾が落とされ始め、ゲシュタポや親衛隊が忙しくユダヤ人狩りをしている。そんな悲惨な時代に。

マックスは、もうおれはここにはいられない、、迷惑をかけてしまうゼ?と出ていくことを決意。涙涙で見送る一家であった。

その後は、、、まあネタバレはやめておこう。けっこうなバッドエンドだと思う。それで多くの人はピンと来るであろう。

この映画の見所は、焚書集会のシーンだ。ガウライター(大管区指導者)みたいな人(町長らしい、、)が、反ユダヤかつ好戦的な演説をふるい、市民がジークハイル!しながらドイツ国歌を大声で大合唱!
Deutschland, Deutschland über alles〜♩
ってやつな。

「炎628」の冒頭でかかるあの不気味な歌よ。まああの映画のドイツ国歌の流しかたは後にも先にも史上最高だと断言する。なんつー不気味な歌や。。と戦慄すること請け合いだ。

この映画でもこの国歌合唱するシーンはいい感じにイカれてて、観ていて楽しい。みんな余裕のないツラしているのがまた良い。いい感じに国全体が狂ってたんだね〜と思える丁寧な演出。ミュンヘンの街並みは大変美しいのだが、国は紛れもなく狂った方向に舵をきっているのだった。

“水晶の夜”のシーンもなかなか獰猛な暴力シーンが描かれていて見所となる。

他はヒューマンで上質な良い話、という感じで、肝心の本泥棒云々の話は全然ピンと来なかった。ああ、そうなの、って感じである(笑)。

まあ、この時代が映画化されるのは珍しくもなんともないし、演出もありふれているので、暇な人は観てくだはいという感じだな、、言葉は英語だけど、日本語吹き替えで観るとあんまり気になりませんでした。

本作は劇場公開される予定だったそうだが、急遽取りやめになったそうである。それを惜しむ声があちこちで聞かれるが、これはウケねえだろう。。やめたのは妥当だ。正直日本人にとってはこの時代のドイツなんてこの世で最も関心のない事象の一つだろう。わけわからなすぎて感情移入しようがない。公開してれば大コケしたのは確実だ。まあ、売れなきゃ公開しないという姿勢はどこか寂しいが、映画も商売だからしょうがないのだ。この時代が好きなおれでさえ、この映画はなんだか中途半端だと思うし、あまり集中して観れない映画でした。テーマもアレなので多分劇場までは行かなかっただろう。

 

 

 

 

 

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