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【高濃度電波受信!】

憂国!捏造!プロパガンダ!
世界の愛国戦争映画特集

 

【序文】
電波映画ってのはどこにでもあるものです。デタラメな主張。胡散臭い思想。露骨な政治宣伝。戦争の賛美。

敵国民を露骨に馬鹿にし、戦争犯罪人に仕立て上げ、嫌らしく卑怯で、弱虫で残忍だと大宣伝する。そして結局たどり着くのは、「あの戦争は正しかった」

戦争中だろうが戦争が終ろうが、情報戦はずっと続いている、とも言えるが、今の時代、そうそう騙される人もいないわけで、こういう愛国電波映画を「ナハハハ」と笑い飛ばすのが、観賞の正しいスタンスでしょう。
世界中にびっくりするほど存在する愛国電波映画の世界。その一端をご紹介します。



アメリカ合衆国

セイヴィング・ジェシカ・リンチ/Saving Jessica Lynch


なんとイラク戦争がまだまだ続行中と言えるころに作られた米国産プロパガンダ映画である。

ジェシカ・リンチ陸軍上等兵は戦闘のさなか、イラク側の捕虜になってしまうのだが、アメリカ陸軍はこの救出劇をハリウッド映画的にドラマチックに演出することを決め、カメラクルーを連れてイラク陣営に殴り込み、その一部始終を撮影した。戦意高揚に利用するためである。

この映画はそれをさらにドラマチックに、なかば伝説として娯楽化したアメリカのテレビ映画だが、あまりに宣伝臭が強く、イラク側の描き方が一面的でひどい。映画としても全然面白くない。

でもことわっておきたいのはリンチ上等兵は大マジに戦闘で重傷を負っていたし、戦後「私は陸軍に英雄に祭り上げられた。恥ずかしい」と語っており、普通の善良なソルジャーだ。下手に美人だったために国家の宣伝に利用されたのである。悪びれることもなくこんな映画を作ってしまう合衆国の必死さが伝わってくる、ある意味資料的価値のある映画。いまだに日本国内でもDVDが販売されているのには驚いた。

 

ワンスアンドフォーエバー/We Were Soldiers


これはプロパガンダ映画の教科書のような映画で、紹介しないわけにはいかない。

いかに人が騙されるのか、ということを教えてくれる作品なのだ。
まずは上のバナーをクリックしてアマゾンのカスタマーレビューをご覧になってほしい。「平等だ!」「公平だ!」「素晴らしい!」と絶賛レビューが並んでいるのだが、宣伝映画に耐性がないとこういうことになってしまうという悪い見本だ。

この映画は徹底的にアメリカ兵を美しく勇敢に描き、ベトナム兵を馬鹿にして軽蔑しておちょくった映画である。ベトナム兵は持ってる銃の引き金引く知能すらない。「撃ってくだは〜い」と馬鹿ヅラ下げてただ走ってくるだけ。それを撃つだけの仕事だ。こんな仕事、日本のブラック企業なら時給650円も払わねえ!

なのに、なんでアマゾンカスタマーレビューではこうなってしまっているのか。ほんの少し、ベトナム兵の首に家族の写真が入ったペンダントがぶら下がっているシーンを、コンマ数秒流したからである。

たったちょっとの「反論」。それだけでこの酷い宣伝映画が「公平だ!」なんて言われてしまうのである。ストーリーもひどくて、非戦主義のカメラマンが最後には銃を持ってベトコンと闘うようになってしまう。。それで原題は「We were soldiers」。これだけでも酷さがわかっていただけるだろう。

「ゼロダークサーティー」がこの映画とほぼ同じ宣伝手法を駆使した映画で、これもたくさんの人々が「CIAってがんばってたんだなあ、かっこいいなあ」と思って劇場を後にした。合衆国はこうやって人々を騙す!是非ご覧あれ。

アメリカンソルジャーズ/American Soldiers


これもアメリカ愛国映画の見本のような映画なんで紹介する。戦闘シーンがとても多いので、これを絶賛する人もいるがそれはどうかと思うぞ。。。これほどまでにイラク人を馬鹿にしてコケにしておちょくった映画はないだろう。

とにかくこの映画の中では、イラク兵の射撃の腕はストームトルーパー以下である。いっさいがっさい当たらない。タマタマが。。。それに比べて米兵の無敵ぶり。。。RPG7を直撃されても車も人間も平気で走っておる、、一体どういうことなのか、、、リアリティがないでは済まされない。しかもこれはアブグレイブ刑務所をノリで批判してみせているので、例によって「公平だ!」とかぬかす馬鹿が大量に沸いたのだが、ここまでおちょくっておいてアブグレイブを批判したからなんだというのだ。

ちょっとの「反論」でこれほどまでに効果的に人を騙せる、、、恐ろしいことである。

 

パールハーバー/Pearl Harbor


これは我々日本人にとっては外すことのできない愛国電波映画である。

多分悪意はないのだが、日本の描き方が異常に適当。子供が凧あげて遊んでるそばで青空作戦会議をかます大本営陸海軍部(笑)。失礼しました。。どう考えてもこれは悪意がある(笑)。

病院だろうが市街地だろうが平然と平面爆撃かますわ、海で溺れて既に無力化されている兵士たちに容赦なくぶっこまれる機銃掃射!南雲航空隊の残忍さが際立っていた。しかも旧式の飛行機で零戦をガンガン撃墜するご都合主義に、ラストの爆撃隊への都合の良い転属。とにかく実際の戦争をここまでストレス発散の娯楽にまで陳腐化した、マイケル・ベイの罪はかなり重いと思っている。

ラストのラストは中国に不時着する主人公だが、そこでも手榴弾一発で日本軍一個分隊ぐらいが即座に全滅する。あまりに描写が適当なので多感な頃はこれみて怒っていたが、今は大爆笑できる。大人になったなおれも(笑)。

 

大韓民国

ロストメモリーズ/2009 Lost Memories
 


韓国の愛国映画ほど強い電波を受信するジャンルはない。その攻撃的電波の矛先は例外なく我がNIPPONだからである。

韓国にとって歴史なんて歪曲するためにあるようなものだし、ねつ造して大宣伝して何回もしつこく言ってれば本当になると思っているかのよう。

まあ、ワタシがそう思ってしまうのは、結局ワタシも日本人で日本人びいきの歴史観の中で生きているからなのかもしれないが、それでもこう断言したい。これは電波だと。

この映画はSFストーリーで、伊藤博文を暗殺し損ねた未来で、なぜか朝鮮半島はまだ日本占領下にあるという、いくらなんでもひどすぎるトンでも設定。で、タイムマシーンに乗って伊藤博文を殺しに行くという、統合失調症急性期でも受信できるかどうかという強烈電波を2時間以上味わうことができる。ちょっとやそっとで手を出してはいけない、韓国の闇に触れた、最も危険な映画だ。

これに日本人キャスト(仲村トオル)を入れて、暗に「日本人もこの歴史を認めている」という風を吹かすのも、韓国らしいやり方。

結局、タイムマシーンで先に過去の伊藤博文暗殺を失敗させたのは帝国日本の陰謀で、朝鮮の勇者たちがそれを食い止めにバックトゥーザフューチャーするという、どこから何に突っ込めばいいのか、いろいろ死にたくなる映画である。「歴史を歪曲する日本」を風刺して得意満面なのだろうが、映画としてあまりにつまらないので、もう少しどうにかしてほしかった。。合掌。

マイウェイ 12000キロの真実/마이웨이


馬鹿馬鹿しい愛国映画で、歴史考証など無茶苦茶すぎて「ナハハ」と乾いた笑みがこぼれ出る。そんな映画だ。

何があれということはないのだが、日本人は卑怯で馬鹿で無能で残忍でドスケベという、使い古されたプロパガンダが満を持して一斉登場する。韓国人は冷静でイケメンで頭が良くて善良である。何の工夫もないプロパガンダだ。というより願望なのだろうか?

ノモンハン事変での戦闘シーンなどがあるが、日本兵はソ連の戦車に向かって編隊組んで鉢巻巻いてただ突っ込むだけという、異次元な戦闘シーンを確認できる。オダギリジョーは徹底して卑怯で姑息でボンボンでどうにもならん最低の役なのだが、この役でよく納得したものだ。すさまじい無感覚さである。

オダギリジョーとチャン・ドンゴンの二人の主人公?は、最初ソ連側に拘束されて兵士にさせられ、次はドイツ軍に捕まって兵士にさせられるという、これまた異次元な設定。いちいち無能で馬鹿なオダギリジョーを、善良で優秀なチャン・ドンゴンがムカつきながらも助けるという、オナニーと呼ぶしかない内容。ひどすぎる。

これを「真実」と強弁するのだから、韓国愛国映画には今後も(別の意味で)目が離せない。

 

中華人民共和国

南京!南京!/City of Life and Death


南京大虐殺を描いた映画だ。

ワタシはけっこうな親中派で、中国のことは別に嫌いではない、日本軍が大陸で無茶苦茶やったのもほぼ事実だと思っている。しかしそれでもこの映画は受け入れがたい。

というのもリアリティが全くないところが問題点として挙げられるだろう。ディテールがどう考えても胡散臭いのである。処刑に集団レ×プなど、非常に残酷な内容で、本当にあったかどうかよりも、人々の感情を煽る目的で作られたのは明白だ。

日本人もスケベで残忍でアホで卑劣。何もいいところなしだ。主人公の日本兵はそのうち良心の呵責に苦しめられるのだが、これもアメリカ映画のところで述べた「少しの反論」なのかと思うと、何も言葉はない。

中国では大ヒットしたそうなので、この映画がヒットしている、、と思うと中国に行くのは正直怖い、、報復されそうである、、、憎しみ増幅装置のようなえげつない愛国映画だ。

金陵十三釵/The Flowers Of War



中国に言論の自由があると思っている人は今や多くないだろう。中国人民は悪くないが、トップの共産党は人類の歴史の中でも最も邪悪な政権である。映画やテレビ番組は昔から「抗日」をテーマに無数に作られてきた。中国人の中には無意識に、日本ってムカつくわ、と考える人も多いだろう。

そんな中国人向けの抗日映画なので、これもすごい内容だ。例によって南京大虐殺をテーマにしている。これも虐殺と集団レ×プをぶちかます極悪日本軍が忌憚なく描かれている映画だが、例によって知的な映画ではない。わかりやすいプロパガンダで、日本兵は女と見れば誰でも犯すし殺すし、子供でも容赦しない。あくまで「鬼」として描かれている。

これはクリスチャン・ベールが主演し、渡部篤郎も出演している、若干国際よりの映画?なのだが、それでも日本軍の描写は酷いの一言。また、便衣隊と呼ばれた中国側のゲリラが登場しないので、日本側がなぜヒステリックに処刑しているのか全然わからず、ただ単に血に飢えているだけに見えてしまう。

強姦される女性の顔は死に顔のように真っ白に化粧され、反日な宣伝文句を大絶叫したあと無残に殺されたりする。すごくわかりやすい愛国映画で、これが流行したのかと思うと、中国には行きたくないな、と思うしかない。

 

ロシア連邦

オペレーションタイフーン


クソつまらない愛国映画だ。

ロシアの愛国映画は、とにかくテクノロジーではドイツに大敗を喫していたというルサンチマンを晴らすかのように、ステゴロ無敵のロシア兵がフィーチャーされる。また強く猛々しく、愛国心に燃えた、清廉潔白なプロの軍人が主人公に必ず据えられ、美しい女性兵士とのロマンスが綴られる。対するドイツ兵はといえば、まるで抗日映画の中の日本兵のごとく、型にはまった卑怯で小心で残忍なステレオタイプな悪役将校が必ず登場し、謀略の限りを尽くすがまったく主役ロシア兵に歯が立たず、左腕で軽くノックアウトされてしまう。

もうそんな映画ばかり。この「オペレーションタイフーン」以外にも似たような映画はそれこそ山と連なっており、対ドイツにいつまでたっても冷静になれないロシア連邦の哀れな姿が浮き彫りとなっている。

というか、20世紀後半から21世紀にかけては、「9000マイルの約束」のように、ソビエトの恐怖政治をを悪く描く風潮がロシアにはあった(「9000マイルの約束」はドイツ映画だが、ロシア政府から「もっとソビエトを悪く描け」と注文があったそうな)。少し前までチェチェン紛争でのロシア軍の極悪さを告発するような映画も多くあった。その頃のロシアの戦争映画は掛け値なしにおもしろい。しかし、今はソビエト=ロシアと単純に同一化されているようで、「大祖国戦争に命を懸ける無敵のおれたち」というクソつまらない単純なプロパガンダが垂れ流されるようになった。

この国も行く末が心配だ。


スターリングラード 史上最大の市街戦


スターリングラード攻防戦という人類史上最も悲惨な殲滅戦を、クソつまらない愛国映画にしてしまったロシアの歴史上もっとも恥ずべき映画である。スターリンが生きていた時代に作られたプロパガンダ映画よりも、ある意味悪質で、本当に駄目な戦争映画である。

これも上で述べたような、ステゴロ無敵のロシア兵、数的には優勢なのに馬鹿で弱くて腰抜けのドイツ兵が、ばったばったとやっつけられるIQゼロの愛国映画だ。

特にひどいのは、歩兵だけのソ連軍が、ドイツ軍の機関銃陣地をほぼ素手で突破してしまうシーンがあるのだが、このような表現を喜ぶ戦争映画ファンはいないと断言しておきたい。こんなんで何とかなってしまうのなら第一次世界大戦はあんなに長引きはしなかったし、必死で塹壕掘る必要もなかった。機関銃相手に歩兵が走って突破するなんて基本的には不可能なのである。しかしこの映画は特に何の理由もなくそれをやってしまう。これでは駄目だ。

その他にも、基本的にはドイツ兵は頭が悪くて喧嘩も弱い。ロシア兵はごく控えめに言ってエクスペンダブルスで、無敵かつ神話の軍勢である。

この映画はトーマス・クレッチマンがドイツ側の顔として登場するが、彼は1993年に作られたドイツ映画「スターリングラード」でも主役を務めたプロの俳優なのだが、この映画で演技をしながらいったい何を思っただろうか、、、、。ドイツ版の「スターリングラード」はこの地球上に存在するあらゆる戦争映画の中でも、最も優れた一本。観るならこちらを強くお勧めしたい。

 

フィンランド共和国

ウィンターウォー
 


フィンランドの愛国映画で、「冬戦争」を描いた映画である。

「冬戦争」は、1939年、世界の目がヒトラーの動向に注がれている時にソビエトが領土割譲を求めて起こした侵略戦争で、フィンランド軍は圧倒的物量のソビエト赤軍に対して真っ向から戦うことを決意。国家総動員令を発し、あっという間に国土の全てが戦場となった。

当時、ソビエトは秘密警察NKVDによる将校の大粛清によって、軍全体が著しく弱体化しており、まずい作戦でフィンランド軍の果敢な抵抗を前についに首都を攻め落とすことができずに停戦を余儀なくされる。

フィンランドは国土の多くを失いはしたものの、誇りと名誉、そして国家の独立を勝ち取った。まさに英雄的な戦争、フィンランド人の「大祖国防衛戦争」と言える。

この映画はその歴史を遺憾なくリスペクトした映画で、フィンランド軍の苦しいが勇敢な戦いを描いている。ソビエト側の描写の浅さが気になるが、極寒の戦場で苦しむ末端兵士たちの姿が活写され、戦闘シーンも豊富で大迫力である。

愛国映画としては電波の濃度も薄く、戦争映画ファンとしてもそれなりに楽しめる佳作。愛国映画が全部悪いわけではないのだ。

 

エストニア共和国

バルト大攻防戦
 


エストニアというのはバルト三国の中の小国ですね(笑)。もうどんな国でも映画でオナニーかますんだなあ、と納得して頂けるかなあ、と思っていますが。

これはロシア革命初期の頃に西に浸透していった赤軍から、国を守るために頑張った若者たち、というストーリーで、もうそれだけの映画なんですけどね(笑)。

赤軍はクソ弱いし、若者たちは化け物じみて強くて、やばい状況なんだけど5人ぐらいで100人ぐらい相手にして無双しまくってどうにかなってしまいます。

というか、この手の小国は、戦争映画にけっこう恋愛を持ち込みがち、ということで、これもけっこう呑気な恋愛模様が戦闘の合間にはさまれており、緊迫感を削ぐ結果に終わっています(笑)。恋愛からめないと地味すぎるもんな、と自覚しているのかもしれないのだけど、本当にクソつまんない映画です。そういう歴史には敬意を払うけど、映画として本当に底が浅くて単純で、おもしろみに欠けます。

 

ベラルーシ共和国

ドニエプル攻防決戦1941


ベラルーシの愛国映画。と言っても、第二世界大戦当時は、ベラルーシはソビエトを構成する共和国の一つで、この映画は一見するとロシア軍が主役の映画なのだが、ロシア軍の中にはベラルーシ人がたくさんいた、という主張が込められている。控えめな愛国映画である。

とはいえ、NKVDの取り調べにより歯を全部折られたセクシーなスキンヘッドの師団長が主人公で、彼が独ソ戦初期の常勝無敗のドイツ国防軍の勢いをせき止めるために奮闘する姿を描いている。

まあこう書くと面白そうなのだが、ドイツ軍側の描写がむちゃくちゃ酷くて、あまりにも弱くて馬鹿で間抜けに描かれているのが気になる。ここはまるで最近のロシア映画のようだ。基本的にはこれは負け戦を描いた映画なのだが、ドイツ軍の弱さ、ショボさ、ダサさに関しては、なぜこうなってしまうのか疑問が残る。

 

ポーランド共和国

バトル・オブ・ワルシャワ 大機動作戦
 


これぞ愛国映画の見本のような素晴らしい愛国映画。
ポーランドの「大祖国防衛戦争(またか)」と言えるピウスツキの騎兵軍団VSトハチェフスキ軍の戦いを描いている。

と、言ってもほとんどの日本人は意味が全然わからないと思うので説明するが、第一次大戦直後に起こったポーランドとソビエトの戦争である。一時、ポーランドはワルシャワの前面まで追いつめられるが、秘密裏に抽出したピウスツキ将軍の騎兵部隊が奇襲に成功、「赤いナポレオン」の異名を持つソビエトの若き猛将、トハチェフスキの率いる侵攻軍を撃退、祖国の防衛に成功。以後、ポーランド騎兵の名は世界に轟くことになる。

映画としては、その歴史を完全にポーランド寄りにドラマチックに作った映画で、戦闘シーンも大迫力。ソビエト側はキチガイ入った悪人ばかりだが、ソ連軍やチェーカーが極悪だったのは史実だと思うので、大した違和感はない(笑)。普通に楽しめる愛国映画で、この時代が好きな人全てにお勧めしたい。

 

フランス共和国

追想
 


フランスの愛国映画・・・というよりドイツ憎しのルサンチマンで構成されたような映画だ。少し毛色の違う電波が楽しめる。

妻をドイツ兵に辱められた挙句火炎放射器で焼き殺された主人公は、ブルータルでアンホーリーな復讐劇に身を投じ、ドイツ兵を残虐の限りを尽して殺しまくるというストーリー。

ドイツ兵側の描写はとにかくひどく、スケベで卑劣で臆病でいいところナシ。軍人でもない完全に素人の主人公に完敗してしまう。また、殺し方も残虐で、この当時としては最高水準ではないかと思えるほど残酷だ。

復讐の虚しさなどろくすっぽ語られず、ドイツ兵を皆殺しにしても愛する人は戻らない、、という、ドイツ人に対する怒りが強く表明された映画だ。オラドゥール村の大虐殺が念頭にあるものと思われるので、フランス人が怒るのも無理はなく、簡単に電波と片付けるのはよくないかもしれない。確かにドイツ人はフランスで無茶苦茶やったのだから、これぐらいムカつかれても仕方がないのかもしれない。

 

トルコ共和国

狼の谷


トルコの愛国映画。これはかなり強い電波を受信できる映画で、徹頭徹尾無敵でクレバーなトルコエージェントが、悪いアメリカ兵をやっつける勧善懲悪モノのストーリー。アメリカが嫌いで仕方がないという、トルコの民心に寄り添った映画だ。

この映画の中で描かれるアメリカ軍は超絶極悪で、ほとんどメンゲレのキチガイ医師に、子供でもヒャッハーと殺すアメリカ軍に、「トルコは屑」とリップサービス?してくれるタイタニックの悪役と、拾うところ一切なしの超強烈反米思想を遺憾なく噴出している。

それに比べてトルコエージェントは、まるっきり無敵の最強兵士で、北斗神拳伝承者並みのチートっぷりを見せてくれる。「ほんの少しの反論」もなし。頭悪い度マックスのおバカな愛国映画だ。ちなみに「パレスチナ」というタイトルの続編が作られているが、そこでも何の捻りもない極悪ユダ公が、無敵のトルコエージェントにしばき倒される姿が活写されている(笑)。悪いのは全部イスラエルだ(笑)!

 

日本

ムルデカ17805
 


日本の愛国映画は少し変わっていて、祖父の戦争は正しかった!という戦争の美化は行われるものの、敵国民を極悪に描いたり、露骨に悪役に仕立てることはほとんどなく、どちらかといえば獅子身中の虫、という感じで、憲兵や無能な参謀の尻拭いをさせられる現場兵士たちの姿が活写されることが多かった。

また、左翼教育により、過剰なまでに日本の兵隊を愚弄するような内容のモノのほうがむしろ多く、露骨な愛国映画は多くないというのが正直なところ。アメリカ製ほど濃い電波を受信できないのはおもしろくないが、
日本特有のアレコレとして、「敗戦を美化する」というものがある。この「ムルデカ17805」もそんな映画である。

敗戦後もインドネシアの独立闘争に手を貸して、奮闘した元日本兵たちのお話であるが、いささか日本軍人をかっこよく描きすぎていて、少しばかり恥ずかしい映画である。インドネシア人に見せる勇気はないし、数々の戦争犯罪も、この映画を見ているだけではなかったことにされていそうだ。

そういうわけで、一面的にしか物事を見れていないという意味では、やはりこれも知的な映画ではない。インドネシア人も実際こんなだったのかもしれないが、頼りなく描きすぎだ。あと恩着せがましいようにも思える。

大東亜共栄圏は、侵略戦争の口実に使われたプロパガンダだが、末端兵士の中にはそれを愚直に信じて、インドネシアの独立闘争に大真面目に命を捧げた人々がいた。これは本当のことなんで誇って良いだろうとは思うんですけどね。。もう少し謙虚な気持ちで作れれば良い映画になったはずだ。

 

男たちのYAMATO


うっとりするほど見事な敗戦美化映画だ。大和の水上特攻ほど、兵士の命を無駄に浪費した作戦はない。世界最高水準の訓練を受けていた最高の水兵たちを、「温存していては陛下と国民に申し訳が立たない」という謎理論で37564にしたのである。この映画はそれを感情に訴えかける官能的な演出で、ドラマチックに描いている。

まあそんな無駄作戦で命を散らした水兵たちにも、それぞれのドラマがあったに違いないのだが、こんな無駄な作戦で殺された若者たちを、英雄視するのはやはり気の毒である。彼らとて英雄になりたくて死んだわけではあるまい。特攻や自爆攻撃など、こんな馬鹿な作戦を思いついた人間を糾弾し、二度と繰り返さないことが何よりも大事である。

ドイツ作家H・G・コンザリクの「第6軍の心臓」という小説にうってつけの一節がある。
引用しよう。

人々が雪の穴の中の死を英雄的な死と混同し始めると、必ずや誤った回答が出されるのだ。英雄的な死などない……あるのは憐れむべき死だけだ。スターリングラードの兵士たちはそのことを知っている……

 

プライド 運命の瞬間
 


これも「敗戦美化映画」である。東条英機をちょっとカッコよく描いてしまっている。まあ実際の東条英機はアメリカと開戦することは反対だったとかいう説もちらほら聞かれているし、実際こいつが何か悪いことしたのか、と言えば、正直微妙である。この人がそこまでの権力を持っていたとも考えられないし、要は日本の悪い顔として、敵側にシンボリックに描かれただけだろう。兵士の命を粗末にし過ぎたという点では、大本営も同罪でこいつだけが悪かったというのもねえ、、そこまでの人物じゃ・・(略)

というわけで、そこまでの人物じゃないと思うんだよね(笑)。それをわざわざ取り上げるというのもセンスがないし、映画自体もあんまりおもしろくない。徹底してみみっちいお涙頂戴ストーリーだ。

負けたけど大義はあったんだ、、、、という主張に溢れた軽く観るには鬱陶しい映画である。こういう映画は敗戦国はみんな作るようだ。アメリカも「ハンバーガーヒル」はこういう主張に満ちている(笑)。


 

【おわりに】
さて、この無益な戦争映画ランキングも第三弾となったが、いかがだったでしょうか?こんなランキングに誰が興味を持つというのか、、しかし、世の中にはこういう誰得で意味不明な映画が存在しているということが言いたかった。

でも、愛国映画と言っても国ごとに特徴があって、全部が全部ダメということもない。国の愛し方もそれぞれだ。他国の悪口を言うしか愛国心を表明できない国もあれば、ドイツのように客観的に冷静に歴史を描こうとする国もある。

願わくば、映画ぐらい悪口を言わずに迷惑をかけずに作りたいものだ。

文・免責/戦争映画中央評議会


 

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